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【記者コラム】激化する初手争いに要注目

 「初手でほぼ決まった」、「○○さんにスタートを取ってもらったのが大きかった」。今年このような言葉を何度も聞いた。選手の脚力が向上し、誘導待避から突っ張って、押し切りが増加。脚力差があり、点数順で車番が決まるミッドナイトはより初手が結果に直結する。それだけに初手の争いが激化。選手の策もかなりシビアになっている。

 「カンナ削り」はもはや当たり前。前走者に外入しながらバックを踏むことで、後続の選手は内抜きにならないように外を迂回(うかい)しなければならない。選手道に反するというモノだったが、近況は「あれしかない」と割り切ってスタート争いから横行。初手が車番順にならなくなってきた。

 また、後ろ攻めになってしまった時の対応策も増えた。誘導待避のタイミングで素直に斬りに行ったら突っ張られる。そのためタイミングを遅らせて一気に斬りに行ったり、カンナ削りでなるべく前々に攻めたり…。また、斬りに行くと見せかけて、空いた内に突っ込みイン粘りをしたり。何とか初手=結果にならないようにと対応策が増えた。

 激しさが増すだけに選手が苦言を呈す場面も増えた。カンナ削りをされたスタートの速い選手は「あんなのあり得ない。こっちはスタートで飯食っているんだから」と怒り。また、一度隊列が決まったのに、別のラインを前に入れたりするシーンでは、「あれいいんすかね…。こっちがもっとシビアにいかないとダメなんですかね」。これは選手間のモラルの部分で外野がとやかくは言えない。ただ、初手争いがかなりシビアになっている証拠と言える。

 「選手も対応するんですよ。特にチャレンジは命懸けですから」とベテラン選手に言われた。〝車番競輪〟とも言われ、より激化する初手争い。車券の予想するためにも、ぜひ一層、注目してみてほしい。


 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の29歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。現在、静岡へ出張中。GPへ向けてもリニューアルしたバンクの癖をつかもうと取材に必死。

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