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【記者コラム】見えない敵と戦う競輪界

 今月24日、競輪界に激震が走った。第74回日本選手権競輪の中止…。緊急事態宣言後、開催を自粛する場が次々と増えていった。それでも日本選手権競輪、通称ダービーだけは決行する。そう思っていたのは自分だけではないはずだ。
 
 GⅠ最高峰と呼ばれるダービーは賞金も高く、決勝2着の選手が毎年グランプリ出場争いに絡んでくる。そういう面でも重要、かつ注目される大会。希望的観測と言われればそれまでだが、開催自粛が続く中、決戦地・静岡で直前のFⅡ戦を強行したことも、全てはダービー決行のための布石と思っていた。とにかく、今回の中止はグランプリの質をも左右するほど、計り知れない衝撃なのである。
 
 くしくも同日、ボートレース界は日本財団を通じ、新型コロナウイルス対策として総額6億円の寄付を決定。世間から賛否の声を受けながらも、売り上げの一部を還元するという形で公営ギャンブルの必要性をアピールした。競馬界もしかり。選手たちの収入を確保しつつ、社会貢献にも貢献するという道筋を貫いた。
 
 一方、競輪界は国や地方自治体からの要望を実直に受け入れ、開催自粛という形で新型コロナウイルス感染防止に向き合った。これも勇気のいる決断だし、立派な行動である。有効的な治療法が確立できていない現状で私たちができることは、日常生活を犠牲にしてでも感染経路を断ち、ウイルスの根源を絶つしかないからだ。そういう観点から見れば英断だったと思う。
 
 ただ、選手たちにもそれぞれ守るべき家族がいる。現在、開催を続けているのはごく一部の場だけ。ほとんどの選手たちが収入0の状況に陥っている。そこは自粛要請を出した国や、決断を下した地方自治体、受け入れた施行者やJKAがしっかりとした保証で支えて欲しい。悔しさを押し殺し、怒りの矛先を間違えることなく、見えない敵と一番戦っているのは競輪界であり、競輪選手なのだから。(岡田 光広)