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【記者コラム】追い込み一本の異彩ルーキー

 異彩を放つルーキーがいる。デビューから追い込み主体の競走を続ける都築巧(23=高知・123期)。競輪選手の脚質は先行、自在、追い込みへと徐々に転身するケースが〝通例〟だが、都築は異色だ。ガンガン競り込み、前へ前へ攻め込むレースが身上。新人から追い込みで売り出していくのは非常にまれ。珍しい存在として注目を集める。

 「勝つためにやっているんです」

 都築に競走信念を聞くと、こう返ってきた。理由は単純明快。むやみに競り込んでいるわけではない。勝利に近い位置を求めて勝負を挑んでいるのだ。「自力選手はある程度のタイムが必要。だけど僕にはその持ち時計がない。自力のベースがないんです。こっち(追い込み)の方が勝負になってますしね」。自力で通用しないことをデビュー前から悟り、追い込み型としていばらの道を歩む。

 すがすがしいほどジカ競りを挑む姿は好感。番手ファイターとしてたくましく成長している都築は「実戦でやってみて覚えている。動画を見て勉強することもあるし柏野(智典)さんのコース取りなどを参考にしている」。高知には山本拳也(33、109期)や田尾駿介(31、111期)など若くして追い込みへ転向した先輩がいるのも励みになっているという。

 個性派ルーキーは今後どこを目指すのか。「脚(脚力)を上げつつ技術も上げつつ。レースで自力を出さないと上(S級)では勝てないと言われるし、もっと練習して出せる時は自力を出せるように頑張っていきたい」。一本筋の通った23歳の成長過程が楽しみだ。

 ◇小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の40歳。06年スポニチ入社。予想では調子、ラインの結束力を重視。20日の高松記念決勝で菊池岳仁の番手を巡り佐藤慎太郎と東龍之介が競り合ったレースは胸が熱くなった。

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