豪快弾連発で目指せS級。昨年5月にデビューした125期の高野信元(26=愛知、写真)はチャンレンジを卒業して7月からA級2班となった。今期一発目の松戸A級1、2班戦で完全V。2戦目の大垣2②❷着と上々の結果を残した。
「展開が良かったのもあるけど、思ったよりは走れてますね」
父親の高野忍氏は元プロ野球選手。1998年のドラフト8位で巨人に入団。2003年に現役を引退した。父の背中を追うように高野信元も大学までは野球一筋。中京学院大では投手で活躍していたが肘を痛めて野手に転向。すると2021年の東海地区大学野球連盟岐阜県リーグで本塁打王と打点王に輝いた。ドラフト候補として注目されたが指名なし。ここが転機となり、元々興味があった競輪選手を志すことになる。
「父親も競輪選手を目指した時期があったけど、当時は年齢制限があって…」
父の知人で元競輪選手の佐々木龍也氏に相談して新たな挑戦が始まった。自転車競技未経験ながら3カ月で日本競輪選手養成所の合格タイムが出た。驚きの身体能力。父の夢をかなえることができた。
高野の今期3戦目は7月27~29日の高知。この開催はS級で松谷秀幸(42=神奈川)が出場していた。2001年から2006年までプロ野球・ヤクルトの投手だった。「高野(忍)さんとは何度も対戦してますよ。息子さんが、まさか競輪選手になるとはね」。さらに松谷の師匠は佐々木氏。意外な縁に驚かされた。
高知の高野は6、1、6着。「全く自転車が進まない。2場所が良かったのに…」。まさかの結果だったが、好素材なのは間違いない。近い将来S級に上がれば、松谷と同じレースで走る時がくるはず。地区は違うので敵となる可能性は高いが、高野―松谷の胸熱なラインが実現するかも。そんな日を心待ちにしている。(亀田 克也)
【記者コラム】高野信元と松谷秀幸の意外な縁
2025/8/5