ニュース&記者コラム

【KEIRINグランプリ2021】古性 独壇場初V

 「KEIRINグランプリ2021」が30日、静岡競輪場で行われ、4番手から強烈な捲りを決めた古性優作(30=大阪・100期)が初出場で初優勝を決めた。賞金1億830万円を獲得して18年三谷竜生以来3年ぶりとなる2億円越え。トップを走ってきた松浦悠士を逆転して初の賞金王に輝いた。昨年の和田健太郎に続く初出場Vで3年連続で4番車の優勝となった。人気を集めた平原康多は2着、郡司浩平が3着だった。

 先頭で最終コーナーを回る。後続はちぎれた。古性は不思議な感覚に襲われていた。「出切ってから直線が長く感じた。あれ?ゴールがけーへん(来ない)、けーへん。その分、ファンの声がよく聞こえた。本当に不思議な感覚だった」。完全にゾーンに入った。人生で一番長く、一番スローな時間が流れる。圧巻の強さでゴールに飛び込むと時が戻った。俺は勝ったのだ。

 最後方からの戦い。目の前には2段駆け準備の関東勢。はやる気持ちを抑え、ワンチャンスを待った。「初手があの位置になったので、そこからの勝負と決めた。近畿の選手として恥ずかしい走りはできなかった。

 打鐘前、関東勢が別線を一気に叩く。古性は流れに逆らわず4番手を確保した。1センター。思い切って踏む。気合で繰り出した捲りは鋭く、2コーナー番手捲りの宿口を一気にのみ込んだ。そこからは独壇場。他の8人がまるでスローモーションに見えた。古性の右腕が上がった。

 近畿単騎の孤独な戦い。しかし、多くの仲間がその背中を押した。「競輪場に入る前に近畿の先輩方から連絡をもらった。いいプレッシャーをしっかりと持って走れた。オールスターを勝った時と同様、今回も郡山久二(55期、引退)さんに練習をつけてもらった。全てのことがうまくいき、自分の力を1滴も余すことなく出せた。まずは家族、そして近畿の先輩方に喜びを伝えたい」

 優勝賞金1億830万円。年間獲得賞金は18年の三谷竜生以来、10例目の2億円の大台突破だ。「賞金は強くなるための投資にしたい。1番車は少し荷が重いが、来年は自分がしっかりと近畿を引っ張って、みんなでこの素晴らしい舞台に帰ってきたい」

 トレードマークのひげが誇らしい。明るいなにわの好漢に拍手がやまなかった。(岡田 光広)


 ◇古性 優作(こしょう・ゆうさく)1991年(平3)2月22日生まれ、大阪府出身の30歳。100期生。BMX出身の並外れたバランスでGⅢ通算6V。今年8月のオールスターでGⅠ初優勝。グランプリは今回が初出場。1㍍68、77㌔。血液型O。


▼松浦悠士(5着)清水君はしっかり仕掛けてくれたし仕方ない。来年の目標?今年以上の準備をして来年こそグランプリを勝てるようにしたい。
▼守沢太志(6着)清水君の動きを見ながら前に離れてしまった。正直、レースになっていなかった。しっかり練習でモガけていなかったことで、レースで変な力が入ってしまったかな。今は少し(骨折の)痛みも出ている。立川記念に出るかどうかは少し考えたい。
▼宿口陽一(7着)今は悔しい気持ちしかない。古性君の力が上だった。
▼清水裕友(8着)残り2周のところでの郡司さんの動きがうまかった。自分が先に動いたことで相手を助ける形になった。
▼吉田拓矢(9着)しっかり主導権を握るレースはできたけど…。もう少しうまく後ろにバトンをつなぐような走りができれば良かった。


 ♦次走斡旋 優勝した古性と3着の郡司は1月9日開幕の和歌山記念。2着の平原は1月4日からの立川記念に出走予定。

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