９年ぶりに熊本競輪場で開催された開設74周年記念「火の国杯争奪戦」（ＧⅢ）は６日、12Ｒで決勝戦が行われ、深谷知広（34＝静岡）がＢＳ過ぎからの捲りでＶ。21回目のＧⅢ優勝を通算400勝で飾った。節間売り上げは62億2229万2900円。目標の52億円を大きく上回った。

　400バンクに生まれ変わり、リスタートした熊本競輪場での最初の開設記念を制したのは、復興への支援を続けた心優しき男・深谷だった。

　「斡旋が出た時から楽しみにしていた。震災直後の状況を見ていたし、初日にたくさんのお客さんの前で走ることができ、こうやって開催ができるようになった熊本のパワーを感じた。それだけでも、もう十分なくらいだった」

　格別な思いで迎えた開催を優勝。しかも通算400勝のメモリアルで飾った。表彰式では〝おめでとう〟より〝ありがとう〟の言葉が飛び、復興に尽力した深谷に対し熊本のファンから感謝の思いが届けられた。

　「シンプルにうれしい。地元みたいな雰囲気で走れました」

　２年連続のグランプリ出場を目指す中、賞金ランクは10位に浮上。年間最多勝争いも単独トップに躍り出た。「そういう争いができる位置にいられてうれしく思う。目の前の一戦一戦を勝てるように」。中９日で迎える寛仁親王牌での大暴れにも期待したい。（本間　正則）

　◇深谷　知広（ふかや・ともひろ）1990年（平２）１月３日生まれ、愛知県出身の34歳。96期生として09年７月に豊橋でデビュー。通算52回目のＶで、ＧⅢは５月の武雄記念以来21回目のＶ。通算成績は1021戦400勝。１㍍69、79㌔。血液型Ｂ。

　◆次走　優勝した深谷知広、2着の松浦悠士は弥彦ＧⅠ寛仁親王牌（17～20日）、3着の隅田洋介は小倉ＦⅠ（8～10日）に出走する。