日本競輪選手養成所(静岡県伊豆市)第125回生(男子)の入所試験合格者がこのほど発表され、平工高の山崎歩夢(3年)が合格を果たした。
競輪GⅠで9冠の山崎芳仁(43=左写真)を父に持つ注目の17歳は、3月末に静岡で始動するナショナルチームの強化指定選手にも選出。養成所を早期卒業し、今も現役で活躍する父と同じステージで戦うことを夢見ている。
憧れは同じ道たどる脇本
偉大な父の背中にまた一歩近づいた。運命の日。山崎は高校の1年先輩で、同期合格を果たした平根雄大(19)からLINEで送られてきた合格者名簿に自分の名前を見つけると、ホッと胸をなで下ろした。「結果が来るまで不安だった。ここが始まり。まずはスタートラインに立てて良かった」
5月の入所直後と、中間期の9月の記録会で好成績を残し、年明けにはデビューできる早期卒業が目標だ。3月27日からはナショナルチームに合流。「知識とか養成所でも役立つと思うので吸収できるものは全て吸収してきたい」と語る。
将来は世界を舞台に活躍することを夢見る山崎。昨年暮れ、初の国際試合となる日韓高校自転車競技交流大会に挑んだ。「相手は体もでかくていい刺激になった」。2次試験の勉強優先で練習時間が思うように取れず、得意とする1㌔タイムトライアルは4位に終わったが、スプリントと初挑戦のケイリンで2冠に輝いた。
憧れは自身と同じく高校から自転車競技を始め、卒業後、競輪の世界に飛び込んだ脇本雄太(33)。競輪とナショナルチームの活動を並行し、2016年リオデジャネイロ、21年の東京と2大会連続で五輪に出場したレジェンドだ。山崎は「脇本選手を超えられるような選手になりたい」と目を輝かせた。
山崎の夢 親子共演
3日練習して1日休め――。父からの助言でスタイルを変えた。「以前は週1休みにしていたが、休みのスパンが短くなったことで集中して練習に取り組め、全体の質が上がった」と山崎。「やっぱり親子で走るのも夢の一つ」。同じレースで戦えるS級1班を目指し、山崎はペダルをこぎ続ける。(鶴巻 裕樹)
目標の早期卒業を誓う
◇山崎 歩夢(やまざき・あゆむ) 2005年(平17)3月25日生まれ、いわき市出身の17歳。高校から自転車競技を始めた。競技開始から半年後のJOCジュニアオリンピックカップU17のスプリントで優勝。昨年8月の全日本選手権男子ジュニアでは1㌔タイムトライアル、スプリントで2冠。趣味は映画観賞。
◇先輩平根も合格
母校を訪れ、恩師に合格を報告する平根(左)
昨春、平工高を卒業した平根も2度目の挑戦で合格を果たした。アマチュアとして1年間練習を重ね、ようやく夢への第一歩を踏み出した。「高校時代からずっと競輪選手になりたいという思いがあったので諦めず、ずっと練習し続けた」。発表当日、母校を訪れ、恩師の小松久勝教諭(57)に合格を報告。「北日本を引っ張っていける先行選手になりたい」と目を輝かせた。