グランドスラマー新田祐大(39=福島)が競輪の実戦に戻ってきた。4月の熊本以来、4~6日に地元いわき平で行われたFⅠに登場。違反点過多による斡旋停止処分から70日ぶりに復帰した。「休んでいた間は全プロ(5月26日、青森)に向けてトレーニングに励んでいた。1㌔タイムトライアルで優勝できているから、調子は問題ないと思う。終わってからは黄檗山での違反訓練に1週間行った。帰って来てからはCSCで自転車競技のトレーニングをいつも通りやっていました」と報告した。
レース間隔が空いたことについては「昨年の今頃の方が空いていたし、五輪の前も空いてましたから」と全く気にしていなかった。昨年後期に4度失格をしていることで、今期は18年ぶりに2班に降格した。これまでの初日は特選が指定席だったが、これからは予選回りを余儀なくされる。「緊張するとは思うけど、GⅠでも緊張するんで。緊張感の練習じゃないけど、慣れるように頑張ります」と語った。
初日は5番手から捲って快勝。圧巻は2日目だった。ホームでカマした黒瀬浩太郞が後続をちぎった。4角でも5車身ほど差があったが、上がり10秒7の末脚で捉えた。「けん制し合っている中、彼一人行き脚がついた形になった。踏むとことは踏んだが、思ったよりゴール前は伸びて行かなかった。そこは修正したい」と振り返った。決勝はその不安通りの結果になった。先に抜け出した松谷秀幸を捉え切れず2着に敗れた。
新田の次走は18日からのサマーナイトフェスティバル(玉野)。「全プロの優勝で寛仁親王牌の理事長杯の権利がある。なので寛仁親王牌の出場権利を獲りたい。そこに向けて1戦1戦、出走本数を積み重ねていきたい」と先を見据えた。再起を懸けるグランドスラマーの動向に注目したい。
◇鈴木 智憲(すずき・とものり)1967年(昭42)生まれ、愛知県出身の57歳。92年入社。97年から2年間競輪記者を経験。当時は神山雄一郎、吉岡稔真が東西の横綱として君臨していた。昨年4月に26年ぶりに現場復帰。