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【記者コラム】〝川崎のトム・クルーズ〟斎藤に注目

 目指すは競輪界の〝トップガン〟だ。121期のルーキー斎藤雄行(27=神奈川)は、端正なルックスから「川崎競輪のトム・クルーズ」と呼ばれている。世界的な映画スターに例えられるほど能力は一級品。今後の成長が楽しみな逸材として注目している。

 魅力を一言で表現するなら身体能力の塊だ。小学校時代に水泳メドレーリレーの全国大会で優勝。中高は野球に青春をささげ、創価高では外野のレギュラーとして西東京大会ベスト4に進出。高校卒業後は米国へ野球留学した。「足には自信があった」と俊足巧打で鳴らしプロを目指したが、道は険しく断念した。

 帰国後は就職。だがプロアスリートへの夢を捨て切れなかった。その時、テレビで知ったのが競輪だ。プロ野球から転向した元ヤクルト投手・松谷秀幸の特集を見て挑戦を決意。挫折が人生のターニングポイントとなった。

 競輪選手養成所の在所成績は56位。それでも自転車競技経験がない適性入所では史上初となるゴールデンキャップ獲得という偉業を成し遂げた。9~11日の弥彦ミッドナイトでようやくチャレンジ初優勝。郡司浩平に借りたフレームから、自身の体に合ったサイズの新車に乗り換えて結果を残した。

 イケメンで運動神経が抜群。あえてウイークポイントを尋ねると「天然な性格かも。米国から帰国するときに飛行機の出発時間のAMとPMを間違えて搭乗できなかった」と笑いながらエピソードを教えてくれた。愛されキャラで見た目とギャップがあるのも魅力の一つだろう。

 脚力は十分。今、足りないのはそれを生かす経験だけ。トム・クルーズが銀幕のスターなら、斎藤は銀輪のスターになる素質があると見込んでいる。

 ◇小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の38歳。06年スポニチ入社。予想では調子、ラインの結束力を重視。取材で感じたメンタルが及ぼすレーススタイルの変化も推理に生かしている。

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