〝郡司将軍〟による見事な城下町決戦だった。11月6~9日に行われた小田原記念、MVPは間違いなく郡司浩平(35=神奈川・99期、写真)。「自分自身の走りもあるし、神奈川、南関のことも考えて」という地区の仲間を鼓舞し、援護した獅子奮迅の活躍だった。
初日から後輩に走りで見せた。初めて松井宏佑の前回り。今年は玉野のサマーナイトFの準決など「前でもいいよ」と伝えていたシーンはあったが、今回の地元記念で実現。「宏佑にとって学んで得るものがあれば。また、南関として並びのバリエーションも増やせたら」と理由を明かした。着にはつながらなかったが、流れに沿った郡司らしい走りを披露した。
後輩も走りで応えた。二次予選、松井は流れに逆らわずラインで決める仕掛けを見せた。松井は「郡司さんと連係して緩んだところで行くというのを改めて実感した。さらに尊敬した。流れを見てワンテンポ早く行けたかなと思う」と即実践。準決では並びを初日から入れ替え、松井―郡司で見事なワンツーを決めた。決勝は「いつまでも宏佑におんぶに抱っこというわけにはいかないので」と先輩が先頭を志願して後輩が優勝。郡司将軍の狙い通りに〝神奈川軍〟としての厚みも増し、結果まで出すことに成功した。
グランプリ(GP)の舞台も地元の平塚。現状、南関で出場当確なのは郡司のみ。地元地区で1人というわけにはいかないだろう。そのために勝負となる競輪祭。失格をすると、ビッグレースで年間3回の失格となり、GPの選考対象から除外される可能性がある。それでも「そういうのもあるけど、走ってしまえば与えられた位置で仕事をするだけです」ときっぱり。南関のエースとしてVを目指すのはもちろん、仲間を引っ張り支えるはずだ。
◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の30歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。個人的には輪界№.1自力選手は郡司浩平だと思っている。



