別府競輪GⅡ「ウィナーズカップ」競輪記者注目選手リレーコラム
人間味があるからおもしろい競輪。中でも師弟の絆は別格の人情がある。野口裕史(39=千葉・111期)は今回ウィナーズカップに師匠・武井大介と乗り込む。2人そろってのビッグ参戦は2年前の当大会以来2度目。ただ、その時は連係がかなわなかった。野口は「師匠と出場できるのは気持ちがひと味違う。勝ち上がって連係したい」とすでに気合十分だ。
2カ月前、師弟の熱い絆を見た。1月の松戸、吉井秀仁杯。武井の師匠の冠大会であり、野口にとっても特別な大会だった。準決でタッグを組むと野口が前受けから突っ張ってワンツー。決勝で再度連係すると、野口の先行に応えるように武井が何度も好ブロックで援護した。最後は2人のマッチレースとなり野口が優勝。「最高の思い出になりました。師匠はアニキみたいで頼りになる」と野口。武井も「野口の後ろよりキツイ位置はない。そう思うことでいつも頑張ることができている」と最高の関係性を築いている。
別府も〝重戦車〟にとって最高の舞台だ。海沿いで風がビュービュー。自力選手は先行することに尻込みする。ただ、ハンマー投げで日本一となったパワータイプはお構いなしだ。「風が強くて、みんなは2周で緩めるけど、自分は風が気にならない。しかも、バックが向かいでホームが追い。自分の好きな風向き。先行しやすいし、ホームの追い風でスピードに乗せて先行できれば楽になる」と自信をのぞかせた。実際、2度参戦し19年のFⅠは①②❾、20年の記念では①①⑨①。大敗もあるが、7戦4勝と結果を残している。今回も突風をモノともせず、自慢の先行力を発揮してくれるはずだ。
もちろんここが最終目標ではない。野口は「師匠と2人で出られるのはここだけにはしたくない。安定して2人で出て、何度も連係していきたい」と先も見据えた。野口と武井。愚直な先行に熱いブロック。ガッツあふれる師弟が、今大会からビッグ戦線を沸かし続けるに違いない。(渡辺 雄人)
◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の27歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。昨年は中央競馬との二刀流に挑戦。今年から再び競輪1本に。愛犬の名前は「ジャン」。