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【記者コラム】”一番つまずいた新人”小榑は諦めない

 回り道でいい――。小榑(こぐれ)佑弥(23=新潟・121期)。デビューしたばかりの新人だ。その同期70人の中で一番つまずいた選手といっていい。5月のルーキーS。初日に落車。過失失格で、肩甲骨を骨折した。2カ月後に復帰しプロ初1着をゲット。しかし、直後に体調を崩す。体重は7㌔落ち、タイムも格段に落ちた。「最初は、グランプリ!と思っていたが甘くない…。今の目標はチャレンジの決勝です」と苦笑いする。

 競輪との出合いは小学生の時。父に連れて行かれた競輪場でスピードと、頑張り次第でお金をたくさん稼げることに魅力を感じた。高校から自転車部に入り、本格的に選手を目指す。念願だった養成所に合格すると、記録会では2度のA評価も獲得した。「卒業式の時〝これでやっとスタートラインに立てた〟と思いうれしかった」と振り返る。だからこそ、デビュー後のギャップがキツかった。

 ただ、こんな逆境も乗り越えられる。もっと苦労してきたから。元々は群馬出身。高校卒業から練習環境にひかれ単身新潟へ。飲食店でバイトをしながら、練習に励んだ。しかし、養成所に3度不合格。諦めたかけて仕事を探した時期もあった。それでも、親の後押しもあり4度目の挑戦でようやく夢をつかんだ。「知らない地で1人は凄く不安だらけでしたね。合格は親のおかげ。自転車を辞めなく良かったです」と笑う。

 師匠も太鼓判を押す。師事しているのは〝男道〟加瀬加奈子だ。加瀬は「佑弥は1人で前橋から出てきて、不安もたくさんあると思う。それでも炊事から何から自分でやっている。男、女、年齢を関係なく凄いと思う。芯の強さがある子です」と愛弟子を尊敬する。また、続けて「デビューの頃の事は後々、誰も何も言わない。競輪はその時だけじゃないから」と見守る。

 師匠が男道なら弟子は〝回り道〟でいい。何度も諦めかけた。それでも挑み続け、ようやくつかんだ夢の舞台。今度も逆境を跳ね返そう。23歳の競輪人生、ここから上がるだけだ。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の27歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。今年から中央競馬との二刀流に挑戦。愛犬の名前は「ジャン」。先週末は弥彦を飛び越え新潟競馬場で取材。

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