
村上博幸(46=京都)は富山記念決勝(8月3日)で落車。約70日間の欠場を経て14日開幕の宇都宮FⅠで復帰した。ケガは右鎖骨と肋骨の骨折に肺気胸。これだけでも重傷だが村上は「このケガより橈骨(とうこつ)の神経まひがひどくて右手握力に影響が出た」。握力の低下は日常生活にも支障が出るほどだった。しかし治療と練習、そして〝走る〟という強い気持ちで実戦復帰にこぎつけた。
村上は22年にも約半年間の長期欠場がある。その時は1月大宮記念で落車。度重なる落車の影響もあり鎖骨が壊死(えし)してドクターストップがかかった。復帰戦は7月の函館FⅠ。「今は目の前の一戦をきっちり走ること」の言葉と①①で決勝戦に進出した記憶が残る。半年間の欠場があればビッグ戦線から遠ざかるが、村上は翌年23年2月の全日本選抜(高知)には定位置に戻った。
今回の負傷は3年前と比べると「年齢的にきつかった。45歳を過ぎると(先輩達を見て)体も厳しい」という現実も感じた。それでも「練習がしっかりできるということは走れるということ」。デビュー25年目、村上ならではの強い思いがある。
14日の復帰戦は三谷竜生の逃げに乗り1着。15日の準決勝は三谷の捲りをゴール直前で差して連勝、2車単の1番人気に応えた。「自転車がブレたりして状態はまだまだだけど自分なりに冷静に走れている」。きょう16日の決勝も三谷に任せて直線勝負。復帰戦V成るか⁉
◇村上 博幸(むらかみ・ひろゆき)1979(昭54)4月15日生まれ、京都市出身の46歳。私立花園高卒。01年8月プロデビュー。主な優勝は第63回日本選手権(10年)、グランプリ2010、第29回全日本選抜(14年)、第28回寛仁親王牌(19年)。1㍍66、69㌔。血液型O。
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)熊本県八代市出身の63歳。慶大卒。87年5月の花月園新人リーグ(59期生)で競輪記者デビュー以来、現場取材一筋38年。デビュー戦から見た選手で最強は神山雄一郎、最速は吉岡稔真。