今年最初のGⅠ、別府競輪「第34回全日本選抜」は中川誠一郎(39=熊本・85期)の優勝で幕を閉じた。単騎戦での逃げ切りは驚きでしかない。残り1周の前半は10秒9と強烈なスピードで出切った。最後は少し失速して上がり11秒8だったが番手にはまった吉沢が伸びを欠いて3着になったほど。今回のキャッチフレーズになっていた〝オニアツ〟な走りだった。6月には不惑を迎えると思えないほど強さが際立っていた。
「すさんでいたというかやる気を失っていた時期があった。競輪人生は長くないだろうし、もう一回やってみようと。昨年2月ぐらいから1年かけて、やっと獲ることができた。GⅠを二つ獲れたので、これで一人前になれたと思う」
16年5月日本選手権でGⅠ初優勝の後はケガもあり成績がふるわず謎の追い込み宣言が出た時もあったが、地元地区のGⅠで鮮やかすぎる復活劇。今年二つ目のGⅠ、日本選手権(松戸)は4月30日~5月5日に開催されるので平成最後のGⅠ覇者として名を残した。ナショナルチームに太刀打ちできる抜群のスピードで今年の競輪界をどんどん盛り上げてもらいたい。
全日本選抜では若手の活躍が期待されたが20代で決勝に進んだのは和田真久留(27=神奈川・99期)と松浦悠士(28=広島・98期)の2人だけだった。高松記念を制して一番勢いがあった太田竜馬(22=徳島・109期)は準決で山中秀将の大ガマシに立ち遅れたことが響き7着で優出を逃した。「難しい。レースは生き物と感じた」。それでも最終日は1着で締めくくり笑顔を取り戻した。
来月にはGⅡ「ウィナーズカップ」(3月21日~24日)が大垣競輪場で開催される。全日本選抜で不在だった脇本雄太(30=福井・94期)が出場する予定となっている。世界選手権の直後とあって体のダメージは少し気になる面はあるが中川、太田らとの対決が待ち遠しい。(亀田 克也)