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【記者コラム】地元勢のため走る深谷に男気を見た

 5日に決勝を終えた取手競輪を取材した。S級決勝は深谷知広の番手を回った地元の吉沢純平が、捲ってきた河端朋之に合わせ2センターから出て優勝。2着には3番手を回った武田豊樹が入り、3着は4番手を回った山下渡で地元勢の1~3着という結果だった。地元勢に前を任された深谷の赤板先行、さらには東日本ラインの5番手を岡田征陽が固めるなど、昔ながらの競輪の醍醐味(だいごみ)を感じさせる決勝だった。

 初日特選でも深谷―吉沢の並びだった。吉沢は「昔はやり合った仲。いまは番手を回る機会も増えてきたので」と番手を回った。深谷は打鐘先行し、ゴール前で吉沢が差してワンツー決着だった。2日目準決は深谷―武田―山下の並び。深谷は赤板からの突っ張り先行で別線を完封。番手から武田が差し、2着は深谷と山下が同着。これで決勝は深谷―吉沢―武田―山下―岡田の東日本勢VS河端―柏野智典の岡山勢で、5対2の2分戦になった。

 連日地元勢を援護した深谷は「責任のある位置ですね。(関東の自力型の)杉浦侑吾君が今シリーズを欠場した時点で、関東勢の前で走る番組になると思っていた」と役割を自覚。南関地区の選手ながら、地元勢のために男気ある走りを見せた。武田と吉沢は師弟の間柄。武田は「彼の戦い方は番手が多くなってきたし、彼の今後を考えると(深谷の番手を回っても)いいと思う。吉沢君には強くなってもらわないと。準決は深谷君との連係だったが、競輪選手を長くやっていて、良かったと思える瞬間です」と並びの理由と深谷への感謝を述べた。5番手を回った岡田も「お世話になっているし、ラインなので当然です」話していた。

 3連単❶❼❹は440円。堅い決着だったが、すがすがしい気分になったレースだった。

 ◇鈴木 智憲(すずき・とものり)1967年(昭42)生まれ、愛知県出身の58歳。92年スポニチ入社。97年から2年間、競輪記者を経験。当時は神山雄一郎、吉岡稔真が東西の横綱として君臨していた。24年4月に26年ぶりに現場復帰。

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