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【記者コラム】坂口晃輔 〝俊敏×パワー〟の走り爆発だ

 身長1㍍56。検車場でひときわ小柄な坂口晃輔(33=三重・95期)。〝忍者〟と評される坂口の武器は小柄な体格を生かした俊敏な立ち回り。直線でするすると狭いコースを突いてくる動きは、誰もまねできない。そんな忍者が新たな武器を手に、ワンランク上のステージにたどり着こうとしている。
 5月に広島で行われた全プロ記念競輪。坂口は決勝にあたるスーパープロピスト賞に駒を進めた。結果は4着だったが、忍者の進化を見た。最終4コーナー。目標の古性が松浦―小倉に捲られるも、その後ろに続いていた佐藤慎太郎(44=福島・78期)を止めた。19年のGP王者も決して大柄ではないが、筋骨隆々なのは誰もが知るところ。その佐藤を頭を出しながら体をぶつけて勢いを殺し、コーナーの出口で再度振り、とどめを刺した。「体が勝手に反応して、ああいう動きができるのは感じがいい証拠」と本人も満足の動き。今までの坂口にはないパワーを感じた。
 重戦車にも当たり負けをしない〝忍〟となった背景には、鍛錬の時があった。「4月に夏場に向けてパワートレーニングをやった。夏はスピードが出るし、シンプルな踏み出す力も必要。もちろん持ち味もなくらならないように、1カ月で3㌔増えました」と斡旋が止まっていたことを有効活用。みっちり鍛え上げられたことで、日本の忍者というよりはアメコミヒーローのような〝Power Ninzya〟という表現の方がしっくりくる。
 GⅠ常連の坂口だが、意外にもGⅢ以上のレースを優勝したことがない。「先行選手がお殿様なら、僕は陰で支える忍者。レースでは目立たなくてもいい。1着に等しい2着を積み重ねていきたい」と謙虚に語りつつ、〝俊敏×パワー〟の走りを爆発させる準備はできている。きょう17日に初日を迎える高松宮記念杯競輪で一気に頂点を獲っても驚きはない。1Rから紫色のNinjaに要注目だ。
 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の26歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。愛犬の名前は「ジャン」。ミッドナイトの取材から帰宅した際に、妻を起こさないようにすることで忍び足が特技となった。

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