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【記者コラム】天職に感謝 山崎は70歳まで現役宣言

 競輪界に激震が走った平原康多氏の引退。仲間であり、ライバルでもある選手たちも衝撃を受けていた。特に数々の名勝負を繰り広げてきた同年代は、思うところがあった様子。GⅠ9冠の山崎芳仁(46=福島・88期)は「たくさん戦ってきた。(引退は)その人の考えがあるでしょう。とにかく、お疲れさまでした」。そう話しながら、自身の引退に対する考えも語った。

 〝競輪選手は落車さえなければ最高の仕事〟という言葉を選手からよく聞く。山崎も「自分からは辞められない」ときっぱり。「僕の場合は5回試験を受けているし、周りの人が助けてくれたから選手になれた」と理由を明かす。苦労し、支えてもらった分、そのありがたみを分かっている。

 その思いを強くしたのは下積み時代。〝4浪〟の生活には当然お金が必要だった。「親も応援してくれていたし、競輪場とコンビニでバイトをしていました。ホットスナックを作っていましたよ。あと、デザートも。それもあって、競輪選手ってこんなにいいんだと思っています」としみじみと話す。体ひとつで大金を稼げる競輪選手はまさに天職なのだ。

 リーチをかけているグランドスラムも目標ではあるが、現在は息子・歩夢もデビュー。2人でS級にいるだけに、記念はもちろん、GⅠ親子斡旋、親子連係にも期待がかかる。「一緒に練習をやると疲れちゃうけどね(笑い)。選手になったからにはGⅠを勝ってほしい」と父の顔。2人での活躍を誓う。

 開催中の高松宮記念杯にも出場。引退感こそ語ったが、まだまだトップレベルの力。「自分は70歳までやりますよ!クビになるまで辞めません」と天職に感謝する。今開催はもちろん、向こう25年、〝4回転モンスター〟と呼ばれた男の走りに期待し続けたい。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の30歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。22年は中央競馬との〝二刀流〟に挑戦。23年から再び競輪一本に。高松宮記念杯の取材のため岸和田に出張中。

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