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【記者コラム】山崎 長男デビューで始まった〝父子鷹ストーリー〟

 GⅠ9勝を挙げ一時代を築いた山崎芳仁(45=福島・88期)に気になる話題を振ると、それまでの優しいまなざしから厳しい師匠の顔つきになった。

 「競輪選手らしい練習をさせていますよ」

 山崎の長男・歩夢(19=福島・125期)が、7月から本格デビューを迎える。気になるのはその指導方針だ。普段はマイペースで自然体の山崎だが、愛息の話になると一点を見つめてこう語った。

 「俺の息子だし時代がどうあれ根性が大事。乗り込みやスピード練習とバランス良くやらせている。とにかく量を多めにやらせている」

 競輪界に〝革命〟をもたらした山崎。今では禁止となった4倍以上の大ギアを乗りこなし数々のタイトルを積み重ねた。栄光はもちろんハードな練習量に裏打ちされている。当時は珍しい「二勤一休」の練習スタイルを導入。2日練習して1日休むサイクルで、練習日は限界まで己を追い込んだ。若き日の猛練習なくして選手としての土台なし。その思いで息子にも自身がこなした練習メニューを課す。冒頭の「競輪選手らしい練習」とは「質より量」を端的に表現している。

 「(脚力の)強さよりも気持ちを鍛える意味で今しかできないことをやらせている。今のところちゃんと俺の言うことを聞いていますよ。デビューしたら分かりませんけどね(笑い)」

 温厚な山崎のことだ。きっと〝スパルタ教育〟の中にも愛情がたっぷり込められている練習なのだろう。

 幕を開けた父子鷹のストーリー。山崎が取材の最後に締めくくった「夢を持って頑張ってくれれば」の言葉には父親としてのエールが込められていた。

 ◇小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の40歳。06年スポニチ入社。予想では調子、ラインの結束力を重視。ほのぼのしたエピソードが聞ける親子やきょうだいレーサーの取材が大好き。

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