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【記者コラム】嵯峨の復活に見る気持ちの大切さ

 4月から26年ぶりに競輪記者に復帰。選手の顔と名前を覚えるのに、必死の毎日を送っている。何人かは聞き覚えがある選手の名前を見かけるが、やはり26年も経つと容姿は変わっており(もちろん私もだが)、時の流れを感じざるをえない。ただ選手の配分と私の取材先がたまたま重なり、連続して同じ選手と遭遇することがある。そうなるとさすがに顔と名前を覚える。しかも活躍すればなおさらだ。

 大宮、平塚と連続で取材した嵯峨昇喜郎(25=青森・113期)はそんな一人。初めて会った4月の大宮で②②❻の活躍。23年10月青森以来の決勝進出を果たした。続く平塚でも決勝に進出し①①❺の活躍。1着になったのは23年6月松戸以来、実に約10カ月ぶりだった。大宮の前まではスランプに陥っていた選手が、私が復帰した途端に復活したのには、何かの縁のようなものを感じてしまった。

 嵯峨に話を聞くと「気持ちの問題ですね。気持ちを強く持ってレースに臨むように心掛けました」と明かしてくれた。大宮初日のレース前に同地区の先輩選手に「〝お前が強かった頃は、凄えイキって自信満々だったじゃん〟って言われて、気持ちを強く持とうと思ったんです」。そこからの快進撃。もちろん嵯峨にそれだけのポテンシャルがあったからこそできたのは言うまでもない。落車によるケガの影響で本調子ではなかったものが、超音波治療器などのおかげで良くなってきていたこともあっただろう。

 ただこの言葉を聞いて、野球で強打者が相手投手を見下ろして打席に入ったり、相撲で横綱が格下力士に横綱相撲を取ったりする時の心持ちに似ているなと思った。嵯峨の復活に、勝負事に臨む時の気の持ちようの大切さを考えさせられた。

 ◇鈴木 智憲(すずき・とものり)1967年生まれ、愛知県出身の56歳。92年スポニチ入社。98年以来26年ぶりに競輪記者として現場復帰。山口幸二が優勝した競輪グランプリを最後に異動。競輪以外に中央競馬、地方競馬、ボートレース、オートレース、ゴルフ担当を経験。

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