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【記者コラム】師弟の絆も競輪の魅力

 競輪の魅力の1つに師弟の絆がある。師匠がタイトルホルダーであれば〝師弟の同時斡旋〟は、より注目される。

 6月22~24日の函館競輪は佐藤友和(39=岩手、写真左)と中野慎詞(23=岩手、同右)の師弟が初めて同時斡旋となった。S級初戦の中野は「S級は力も展開も違う。(師匠に)教えてもらいます」と話しつつも初日予選を押し切った。

 23日の準決勝は「憧れの師匠」(中野)と実戦で初めての連係。佐藤が競りになるメンバー構成となり、一度は連結が外れたが佐藤が逃げた中野の番手に追い上げてワンツー決着。「師匠との初連係は緊張したけど、いい意味の緊張感でした」。レース後、師匠のアドバイスを一言も聞き逃さないよう集中する中野の姿が印象的だった。

 今は希薄になりつつある師弟関係だが、以前は〝師匠は誰ですか?〟と聞く機会が多かった。記者の新人時代(87年~)は師匠の自宅に住む弟子も多くいた。携帯電話もない時代、弟子の電話は呼び出し(師匠自宅)も少なくなかった。タイトルホルダーの小橋正義氏(当時岡山=引退)、高木隆弘(神奈川)も師匠の自宅で鍛錬に励んでいた。

 弟子入りは練習場所、縁故関係、学校の先輩などの理由があるが「僕はタイトルを取りたいのでタイトルを獲っている○○さんに弟子入りを志願した」という選手もいる。吉岡稔真氏(福岡=引退)に弟子入りした園田匠(福岡)がその1人。また「師匠もタイトルホルダー、兄弟子もタイトルホルダー」で吉井秀仁氏(千葉=引退)に弟子入りした武井大介(千葉)も。兄弟子は鈴木誠氏(千葉=引退)だ。

 多くの師弟を見てきたが、吉井氏と鈴木氏は印象に残る。現役時代はもちろん、引退した今も師弟の絆が感じられるシーンが多いからだ。

 ◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の59歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に関根幸夫(引退)ら59期生デビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋36年目。9車の勝負レースは5車の結束、番手捲り、競り。

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