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【記者コラム】常連の本場ファンを大事に

 15日に22年度上半期(22年4~9月)の開催日程が発表された。

 選手同様に車券ファンも「与えられたメンバーで戦う(買う)」。ネット、電話が主戦のファンは朝(モーニング)から深夜(ミッドナイト)までメンバーを吟味して投票する。しかし本場、場外でマークカードを塗るファンは施行者の運営方針に左右される。

 例えば金網越しに流れる〝車輪の音〟(一度は聞いてほしい)を聞きたいファンはミッドナイトでは不可能。また日曜、祭日の昼間にお日様を浴びながら声援を送りたいファンも施行者が「当場はナイター場」の方針なら不可能だ。

 もちろん売り上げ最優先、費用対効果、新規ファンの開拓…。私も競輪記者を35年間やってるから開催施策は十分理解してる。ただし施行者は最近数年だけを見るのでなく、今に至る多くの経緯(記念は全場外発売、賞金の号数撤廃、9車→7車立て本流)も振り返り、認識してほしい。それが長年にわたり本場を支えてきたファンに対する礼儀。

 1日平均で1万円の車券を買うファンは1年間で365万円。私は記者生活35年だから…×35は楽に1億円を超える(25%は負けてるからぼうぜん)。もちろん各競輪場の常連ファンは「この屋根、柱は俺が買ったようなもの」の思いも強い。

 その本場ファンの思いに応えようとする場もある。「急な坂道を何度も登ってきてくれたファンを大事に」と語る施行者歴20年の福西淳・開催執務委員長が率いる伊東競輪場。正門前の車券売り場、坂道の手すりなどチョット便利なものも多い。またコロナ禍の一例は20年9月の伊東共同通信社杯。入場者数が制限される中、半数は伊東競輪場の場外利用者(約1カ月前のAS場外)を抽選にして4日間通しの入場券にした。これは「日頃、本場に足を運んでくれるファン」を思ってこそ。21年にGⅠ開催した某場が後半22日間を無観客にした施策とは違う。

 少数派になっていく本場ファンだが〝競輪の功労者〟だけに大事にしてほしい。

 ◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の59歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に坂本英一(栃木)ら59期生デビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋35年。9車の勝負レースは5車の結束、番手捲り(13日の奈良記念決勝は的中)。

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