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【記者コラム】戦う姿勢に選手の個性、生きざまがある

 競輪には車券とは別の面白さがある。もちろん、競輪が成り立っているのは公営競技ゆえ。お金がかけられてナンボ。ファンとしてはお金が増える可能性があるのが魅力の一つなのは間違いない。ただ、選手が戦う姿勢を出し、己の生きざまを見せた時。最高の面白さを感じる。
 共同通信社杯の2次予選。坂口晃輔(34=三重)が唯一の先行型・吉田拓矢の番手に競り込んだ。車券としては競らない方が分かりやすい。吉田と番手選手で買えば簡単に当たりそうだ。競りが発生すれば、相手が分からなくなる。でも、これが面白い!坂口は「番組が出てすぐ、勝ち上がるために競りに行きたいと思った」。前日に落車し手負いの状態でも迷いはなかった。結果は6着で勝ち上がれなかったが、「競った時点で勝ち負けだけじゃなく印象も大事」という本人の言葉通り、戦う姿勢と、生きざまにしびれた。
 レースのレベルは関係ない。先日の青森ミッドナイト決勝。特昇を懸けたルーキーがいた。同期が前を志願したが拒否。圧倒的な脚力を持つ新人同士で強い方が番手なら、車券は差し目で堅い。前だと差されるかも…とウラも必要になる。それでも「自力で勝ちたい」とこだわった。新人でも〝俺はこういう選手なんだ〟と貫く姿に魅了される。
 こうなると競輪の沼にはまる。現在、ネットで車券を買うのは当たり前になり、合わせたように動画配信も激増。あるベテラン選手は言う。「そこで僕たちは〝1番〟、〝5番〟と呼ばれ、あくまで数字」。悲しい。確かに選手は数字を背負い走っているが、選手の個性、人生、生きざまがある。それは車券とは全く別で、ひいては車券より面白い。この面白さをもっと知ってほしい。声高に言おう。〝競輪は人生をぶつけ合う最高のエンターテインメントだ〟。

 

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の27歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。今年から中央競馬との二刀流に挑戦。愛犬の名前は「ジャン」。