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【記者コラム】新ヒーロー拳矢 必然のダービー制覇

 ニューヒーロー誕生に沸いた平塚ダービー。山口拳矢(27=岐阜・117期)がデビューから2年11カ月で最高峰のGⅠを制したインパクトは大きい。ファンは次世代を担うスターの登場を待ち望んでいるからだ。拳矢のGⅠ初制覇は偶然ではなく必然――。スターになるために必要だった資質を探っていく。

 鳴り物入りだった。父はグランプリ2勝(98、11年)、オールスター1勝(98年)、晩年は「最強の支部長」と呼ばれた元選手の山口幸二氏。その幸二氏の実弟にあたる山口富生(53、68期)が師匠として拳矢の精神的支柱となってきた。拳矢より先にデビューした兄・聖矢(29、115期)の存在は競輪人生の道しるべになっただろう。華麗なる競輪一族のサラブレッド。抜群の環境が類いまれなる競走センスの礎になった。

 大物感をデビュー前から漂わせた。養成所時代に成績優秀者に与えられるゴールデンキャップを獲得。117期は寺崎浩平、菊池岳仁と史上初の早期卒業が出た期生だ。逸材がゴロゴロいる同期生から刺激を受け負けん気が生み出された。脚力の裏付けとともに、ライバル関係も拳矢の急成長には欠かせなかった。

 ルーキーシリーズを含めると26連勝。競輪人生は最高の滑り出し。20年11月には福井競輪場のバンク新となる上がり10秒6をマーク。21年3月の117期生によるルーキーチャンピオンを優勝。そして同年9月の地元岐阜で行われた共同通信社杯をGⅡ史上最速となるデビューから480日で制覇と、ここ一番の勝負強さは超が付くほどピカイチだった。

 拳矢の足跡をたどれば、まさに勝つべくして勝った平塚ダービー。久々の新星登場で胸が高鳴る思いだ。世代交代の旗手として一等星の輝きを放ち続けてほしい。

 ◇小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の39歳。06年スポニチ入社。予想では調子、ラインの結束力を重視。今年は紫波(岩手)、泉崎(福島)、境川(山梨)などの自転車競技場へ足を運びたい。

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