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【記者コラム】機動力優勢に〝待った〟 村上博見せた追い込みV

 村上博幸(40=京都・86期)が5年ぶり3回目のGⅠ制覇を飾った寛仁親王牌。個人的にずっと気にしていた〝記録〟が「18」でストップした。それは自力タイプのGⅠ連続V。

 

 下記別表の通り、近年のGⅠウイナーは自ら動ける選手ばかり。純粋な追い込み選手のVは16年8月松戸オールスターの岩津裕介以来、約3年ぶりだった。〝追い込み受難〟の時代だからこそ村上の優勝は価値がある。

 

 最大のヤマ場が準決勝と振り返った村上。「一番焦るところでも凄く冷静。ベテランの走りでしたね」。自画自賛の走り(3着)で決勝へ進出し、ファイナルは三谷竜生の逃げをきっちり差した。

 

 「(流れが)来てるなという感覚はあったが、あんなに絶好の展開になるとは。(優勝した)サマーナイトのように脚が三角に回らず、しっかりペダルに力が伝わった」。選手生活19年目。数々の修羅場をくぐり抜けた経験値の高さが栄冠をたぐり寄せた。

 

 先行選手は競輪の華。一方で追い込み選手は玄人受けするテクニックや直線一気の強襲劇でファンをしびれさせる。村上博だけでなく佐藤慎太郎、諸橋愛、小倉竜二など実力派のマーク選手には機動型優勢の潮目を変える走りで競輪をより面白くしてほしい。

 

 ♤小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の36歳。06年スポニチ入社。競輪取材歴は大阪本社で2年、東京本社で11年。競輪を見始めた頃に好きだった追い込み選手は池尻浩一(63期引退)と岡本新吾(42期引退)。

 

◇2016年以降のGⅠ優勝者◇
年月 レース名 優勝者
16年2月 全日本選抜 渡辺 一成
16年3月 ダービー 村上 義弘
16年5月 ダービー 中川誠一郎
16年6月 高松宮記念杯 新田 祐大
16年8月 オールスター 岩津 祐介
16年10月 寛仁親王牌 稲垣 裕之
16年11月 競輪祭 平原 康多
17年2月 全日本選抜 平原 康多
17年5月 ダービー 三谷 竜生
17年6月 高松宮記念杯 新田 祐大
17年8月 オールスター 渡辺 一成
17年10月 寛仁親王牌 渡辺 一成
17年11月 競輪祭 新田 祐大
18年2月 全日本選抜 新田 祐大
18年5月 ダービー 三谷 竜生
18年6月 高松宮記念杯 三谷 竜生
18年8月 オールスター 脇本 雄太
18年10月 寛仁親王牌 脇本 雄太
18年11月 競輪祭 浅井 康太
19年2月 全日本選抜 中川誠一郎
19年5月 ダービー 脇本 雄太
19年6月 高松宮記念杯 中川誠一郎
19年8月 オールスター 新田 祐大
19年10月 寛仁親王牌 村上 博幸

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