売り上げに見えない競輪人気を確信した。8月松戸記念は4日間の売り上げが56億2387万5400円、目標には届かなかった。ただ、場内は人、人、人。最終日は平日にもかかわらず4500人近いファンが集まり、入場者数は昨年を上回った。
決勝後、仕事を終え記者同士で最寄り駅の中華料理店に立ち寄った。隣の席から「競輪記者の方々ですか?」と声をかけられた。動画配信に出ている先輩記者を見て分かったらしい。
上野で働いているというサラリーマン3人組。「4日間連続で来た」という競輪歴3、4年の男性がビギナー2人を連れてきていた。その男性は「競馬は好きで、競輪はグランプリだけ見ていた。知っていた平原(康多)が勝った寛仁親王牌で当たって16万円に。そこからハマった」という。
「昨年も同僚と来たし、前日も競輪が初めてという2人を連れてきた」と玄人の〝宣輪師〟が育ってきている。ハマッてから玄人になるまでが競輪の壁。最初の門はくぐっても、結局分からずやめる。〝分からない〟を解決するすべがなかった。プロの解説、完全初心者向けの説明はあった。ただ、かゆいところに手が届いていなかった。
競輪が詳しくなった理由を尋ねると「23時30分までやっている。それに配信も見る」とミッドナイト競輪で遅くまで実践する機会がある。最近は出演者と一緒に盛り上がれる動画配信が絶好調だ。分からないことがあればチャットで質問。即、回答してもらえる。画面越しで一緒に盛り上がり、疑問も解決。これが玄人を育てている。
〝宣輪師〟が職場などリアルコミュニティーで競輪に引き込み、さらに興味を持つ人が増える。民間サイトのキャッシュバックが落ち着いて売り上げは正直、頭打ち。ただ、持続的な人気につながる、ファンを増やす仕掛けは出来上がってきている。(3週後の次回に続く)
◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の31歳。法大卒。18年入社、20年1月からレース部競輪担当。22年は中央競馬との二刀流に挑戦。23年から再び競輪一本に。愛犬の名前は「ジャン」。


