10周年を迎えたガールズケイリンに新たな〝ツヨカワ〟レーサー誕生だ。8~10日の地元の前橋(③①❹着)で鮮烈な本格デビューを飾った122期の河内桜雪(かわうち・さゆき、19=群馬)。可憐なイメージを想起させる名前からは想像もできないアグレッシブな競走スタイルに記者はギャップ萌え。デビュー前からテレビで特集された美少女がそのベールを脱いだ。
歓喜の瞬間は2日目。華麗な差し脚を発揮して初勝利。新人らしからぬ勝負度胸と追走テクが光った。極度の緊張もなかったそうで「何年も練習している前橋ですからね。落ち着いて走ることができました」と満開の笑顔が咲く。師匠の滝野勝太(群馬・92期)は「気持ちが強いしレースのセンスがある」と愛弟子の走りに目を細めた。
小6の頃に前橋競輪場でガールズケイリンを観戦。その迫力とスピードに一目ぼれした。競輪選手を目指していた父の夢を受け継ぐ形で自転車の道へ。前橋工業自転車部では男子部員に交じって女子1人。「練習がとにかくキツくて男子でも入部してすぐ辞める人が多かった」と言う。紅一点で強い精神力と脚力を磨き上げた。
ツヨカワの先輩からお墨付きをもらった。本格デビュー戦では昨年の賞金女王で今年5月に電撃引退した高木真備さんのトークショーが行われ、河内を「凄く可愛い。あんな子が強気なレースをしているのを見るのも楽しい」と絶賛だった。
強く、美しくを地で行く19歳。話題先行ではない実力も魅力だ。シンデレラストーリーが始まった。
◇小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の38歳。06年スポニチ入社。予想では調子、ラインの結束力を重視。取材で感じたメンタルが及ぼすレーススタイルの変化も推理に生かしている。