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【記者コラム】競輪祭出場へモガく当銘

 目標を持って必死にもがき、劇的に成長していく選手を間近で見られることは競輪記者の楽しみの1つ。最近のイチ推しはガールズ114期の当銘直美(とめ、23=愛知)だ。
 
 競輪学校(現日本競輪選手養成所)では21人中、在校14位。決して期待の高い素材ではなかった。デビュー戦の防府(18年7月)も6、6、7着と散々。だが、「3年以内に優勝」という目標を立て、地道に強化に取り組んだ。すると、1年2カ月後の19年9月、静岡で優勝。半分にも満たない期間で目標を達成した。「周りの人が練習を見てくれたおかげ」と周囲に感謝したが、諦めることなく目標に向けて突き進めば、いつかかなうことを当銘は知った。
 
 そして彼女は新たな目標を立てた。「競輪祭に出たい」。男子の競輪祭(11月18~23日、小倉)に合わせて開催されるガールズグランプリ2020トライアルレース。選考基準は平均競走得点上位者14名。「強い人だけが選ばれて出場できるレース。だから出たい」
 
 ターゲットに向け、昨年12月から新たな練習に取り組んだ。1周を1人でもがく自力練習。これまで当銘は追走練習に励み、レースでも他の選手の仕掛けに乗った差しが多かった。「強い人は自力で勝てる」。これまでとは比較にならないほどの負荷を自らに課した。
 
 早くも結果が出ている。1月25~27日の静岡ガールズケイリンコレクショントライアルレースでは次点で決勝に進めなかったが最終日に自分でレースを動かし、見事1着。続く平塚(2月3~5日)では、最終ホームで自ら仕掛けて押し切り、優勝を決めた。 
 目標があるから努力できる。努力できるから目標に届く。強くなる理想のサイクルを描く当銘。11月の小倉の出走表に彼女の名前があるような気がしてならない。
 
 ♤渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の24歳。法大卒。18年4月入社。昨年12月までレイアウトを担当し1月からレース部競輪担当。愛犬の名前は「ジャン」。競馬、ボートも愛する。特技はプロの資格を持つダーツ。新人記者にも誠実に対応してくれる選手に感動を覚える日々。

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