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【記者コラム】脇本=松浦の連係が意味するもの

 2年ぶりに函館競輪場で行われたサマーナイトフェスティバル(GⅡ)。記者自身は8年ぶり2回目の函館出張だったが、開催期間が旧盆にあたり、さらには函館競馬のGⅢや、医学学会が重なり、函館市内は〝居酒屋難民〟が多発するほどの人だかり。競輪場内も同様で、コロナ禍以前の活気あふれる姿に戻っていた。

 厳しい勝ち上がりの中で決勝進出を決めた9メンバーの顔ぶれだが、準決勝でバンクレコードを更新したGP王者の脇本雄太に、大会3連覇を狙う松浦悠士、関東の総大将・平原康多。地元地区代表の新田祐大に、生まれ故郷で大奮闘した松井宏佑、今年のダービー王・山口拳矢など、そうそうたる顔ぶれ。フレッシュマンでは115期の佐々木悠葵がビッグ初優参を決めた。

 注目されたのは脇本をマークする選手が現れるかだったが、山口との中近連係は実現せず。西日本というくくりで、松浦と山田英明がマークする流れに。

 松浦にとっては大きな決断と線引きだった。ナショナルチーム出身で〝ケイリン〟の代名詞のような男と、その対抗勢力として死力を尽くしてきた〝競輪〟生え抜きの男。水と油のような関係だ。ここで連係しなければ、今後も一切交わることはないだろう。逆に今回連係したことで、条件さえそろえば今後もタッグを組むことが可能となった。

 もちろん、脇本と話し合いをして慎重に出した答えである。締め切り時間の関係上、このコラムは決勝戦前に出稿しているので結果がどうなったかは分からない。それでもこの2人が連係したことは、今後のビッグ戦線における大きなターニングポイントであったことは間違いないだろう。

 選手の能力、思考が進化すれば、レース形態も進化する。ボートレース界でもチルト3度=6コースという概念は過去のモノになりつつある。地区や生い立ちを超越した連係――。いまはイレギュラーの産物でも、そのうち新常識となる日が来るかもしれない。

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