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【記者コラム】遠沢さん、まだまだ魅せてください!

 3年前の2月、1人のおじさんにほれた。遠沢健二(58=神奈川・57期)。正直、全盛期は見ていない。ただ、名前は当然知っていたし、55歳で別線を強烈にブロックするのを見て、ただ者じゃないと分かった。レース後、新人記者として〝感動しました〟と伝えると「ありがとう。また頑張るから見てて」。あれから3年半、カッコイイおじさんは試練の時を迎えた。

 初のチャレンジ戦。失格が響き、現行で一番下のランクになった。「正直、引退も考えた」。遠沢は胸の内を明かした。S班経験者がチャレンジを走るのは、08年にS班が適用されて以来初めて。初代赤パンとしてのプライドもあった。それでも戦うと決めた理由を尋ねると「緊張や、プレッシャーもある。やめれば楽なんだろうけど、一度ユニホームを脱いだら二度と着ることはできない。S班もチャレンジも経験したのは選手としていいと思う。納得したら引退してもいい」と決意の表情で語った。

 迎えた〝初戦〟。新人に食らい付き、番手で仕事をこなした。やることは変わらない。「先のことを考える余裕なんてないし一戦一戦味わいたい。嫌なこともある。でも、競輪って面白い。天職だと思っているしまだ頑張るよ」とニッコリ。1人で山で練習し、宮古島に合宿も行く。全盛期の力はなくとも、行動力と思いは変わっていない。

 神奈川の若手からこんな話を聞いた。「神奈川支部のイベントで自転車の部品をモチーフにした時計を売った。売れるか不安だったが、後日、遠沢さんがニコニコしながら持っていた。本当に自転車が好きなんだなって思いました」。心の底で自転車、競輪を愛している。遠沢は言う。「今期はつらいと思う。でも、楽しみに見てて」。遠沢さん、まだまだ魅せてください!

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の28歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。昨年は中央競馬との二刀流に挑戦。今年から再び競輪1本に。愛犬の名前は「ジャン」。

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