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【記者コラム】関根 父譲り徹底先行で目指すはS1

 2世、3世選手は多数いる。記者35年目になると親子はもちろん、親子孫3代の取材経験もある。50歳以上の選手は取材の回数も多く、年代的にも気が合う選手ができる。当然、引退したあとの交流も続く。
 
 「息子が競輪選手になります」。教えてもらうと注目するし、応援したくなるのが記者心理。まして30年以上の親交がある選手の子供、そして幼少時から知っているとあればその思いは強い。
 
 関根健太郎(30=神奈川)は応援している1人だ。父・幸夫氏(引退)は87年5月にプロデビュー。私の記者デビューが幸夫氏と同じだった縁もあり、親交がある。「健太郎が選手になる」と幸夫氏から聞いた時には〝親父を超えるように頑張れ〟と思ったものだ。
 
 健太郎は11年7月にプロデビュー。「父が選手だから競輪は身近にあった。でも鎖骨骨折などケガを見れば、選手は…」と思っていたが、湘南工大附属高3年時に進路を考えた際に、父と同じ道を選んだ。
 
 健太郎は父同様に徹底先行型としてデビュー。19年後期に初のS級入りしたが「(上は)甘くない。負け癖がついてしまい…」自信をなくした。しかし〝諦めない〟という強い気持ちを取り戻して平塚朝練グループでモガき、今期は2度目のS級入りを決めた。
 
 函館(10月5~7日)で久々に話した健太郎は一回り大きく、たくましく見えた。可愛い笑顔は変わらないが、10年のプロ生活を経て「先行でS1を目指す。S1になってスタート」と明確な目標を掲げて引き締まった表情を見せた。
 
 父は31年のプロ生活で通算取得賞金は6億円を超えた。健太郎はデビュー10年で1億円に満たない。「父の偉大さが分かりました」。今期のS級は連絡みも増えて「2年前よりゴールまでモガけるようになり戦える」と手応えをつかんでいる。「自力は楽しいし(自力は)自分の責任」。健太郎の言葉は以前、父からも聞いたような気がした。
 
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の59歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に関根幸夫(引退)ら59期生デビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋35年目。9車の勝負レースは5車の結束、番手捲り、競り。

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