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【記者コラム】GI初V新山の本格化に期待

 11月27日決勝の小倉競輪祭は新山響平(29=青森)のGⅠ初制覇で幕を閉じた。

 新山は勝ち上がりのレース内容が抜群だった。準決勝までの4走すべて赤板先行。圧巻は4日目のダイヤモンドレース。先行意欲満々の森田が相手の二分戦で森田を突っ張って先行。郡司の捲りに屈したが、先行選手がこだわる〝内容〟は明らかに相手を上回った。

 今回の新山が勝ち上がった走りは豊富な練習量と脚力があればこそ。本紙評論家の井上茂徳氏が「先行選手が最終日に優勝を目指すにはシリーズを通しての体力の温存も大事。先行選手はレース後の脚の張りがある。新山の4走が2周先行は驚き」と振り返る。

 決勝戦は新田の番手回りを選択。これは今までの新山の走り、他の北日本勢のメンバー構成から推理すれば自然。昨年9月のGⅡ共同通信社杯、同10月のGⅠ寛仁親王牌は新山が新田の前回りで果敢に風を切った。新田の優勝はならなかったが、新山の走りを見れば新山の気持ちは周りに伝わったはずだ。

 また新山は一歩ずつ実績を積み上げて「タイトルに近い男」という人気の中で結果を出した。格上の先輩が多い北日本地区で常に先頭で果敢に攻めてGⅢ優勝をはじめ着実に地位を築き上げていた。北日本の自転車競技経験者という面で伏見俊昭(福島)、渡辺一成(福島)らに続く逸材だ。

 昨年の競輪祭は先行したが2着。優勝は同期の吉田拓矢(茨城)だった。「去年の悔しさを晴らせました。自分がやってきたことで新田さんが(前で)頑張ってくれました」と喜びとともにラインの先輩たちに感謝の気持ちを表した。

 新山の人柄の良さは競輪の走りと優勝インタビューでの話し方を見れば伝わる。GⅠタイトルを取ったことで今後の本格化が期待される。GP初出場を決めた新山の走りが「グランプリ2022」の流れを大きく左右することは確かだ。

 ◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)生まれ、熊本県出身の60歳。慶大卒。87年4月入社、同5月から競輪記者。以来、現場取材一筋36年。東日本の競輪場所在地の雀荘、パチンコ店、宝くじ売場はほぼ把握している。

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