
3月10日に59歳になった川口満宏(東京・58期)がS級最年長1着の記録更新に挑戦中だ。現在のS級最年長1着は萩原操(三重・引退)の58歳3カ月(21年11月26日)。今期(1~6月)S級に復帰した川口は1着を獲ったと同時に最年長記録を塗り替える。
川口は86年9月にプロデビュー。競輪学校(当時)の在校成績は5位、そして58期生の卒業チャンプに輝いた。私が川口を初取材した87年は先行一本でS級上位に駆け上がる時期。当時の東京は山口健治(38期=引退)、尾崎雅彦(39期=引退)、清嶋彰一(40期=引退)のタイトルホルダーが顔をそろえた。85年の第1回立川グランプリには東京から前記3人が出場。特別競輪(GⅠ)の県別出場選手数も東京が1、2位を争っていた。川口も偉大な先輩に追い付けと特別競輪の常連に定着したが、GⅠの表彰台は05年1月小倉競輪祭の3着が最高だった。
川口は今年9月に選手生活満40年の節目を迎える。59歳の誕生日にS級に在籍することは並大抵ではない。「落車をしないこと。練習をコンスタントにやる。練習量は多くなくても自分にできることをやる」。これが川口を支えている。
今の川口にはもう一つ目標がある。「還暦をS級で迎えること」。今期にS級点数を確保すると来々期(27年1~6月)はS級。すなわち来年3月10日の誕生日をS級で迎えることができる。今期は苦戦しているが、残る3カ月余を〝自分にできることをやって〟臨む。「何か名前を残したいなあ」。S級最年長1着、還暦S級レーサー。川口の挑戦もまた〝人が走る競輪〟の魅力の一つだ。
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)熊本県八代市出身の63歳。慶大卒。87年5月の花月園新人リーグ(59期生)で競輪記者デビュー以来、現場取材一筋38年。デビューから見た選手で最強は神山雄一郎、最速は吉岡稔真。


