京王閣競輪場は14~16日に3日制GⅢを開催、続いて26~28日にも3日制GⅢを開催する。車券歴20年以上のファンにとって、この日程は(GⅢの呼称ではなく)記念競輪時代の前後節を思い出す。02年3月まで各競輪場は開設記念競輪を3日制開催で2節「前節と後節」で行っていた。
レース概定は次回の26~28日の開催に類似。A級戦、S級戦で行われた。当時のS級戦の初日は特選、選抜、予選。26~28日のS級戦の初日は特選と予選。予選は1~3着が準決勝権利、2日目は準決勝1~3着が決勝進出。予選スタートの選手は〝車券に貢献しなければ決勝に勝ち上がれない〟とシンプル。これはファンの車券推理と一致して分かりやすい。またS級戦は9車立てこそ面白い。
記念の前節、後節時代はトップが同じ顔触れにならない点も長所だった。東西横綱時代の神山雄一郎(栃木=引退)が前節なら吉岡稔真(福岡=引退)は後節。2強の対戦は特別競輪(現GⅠ)でしか見られなかった。26~28日の京王閣GⅢは楽しみであり、3日制GⅢの試行は今後も継続してもらいたい。
「神山雄一郎氏のGⅠ優勝16回を振り返る」(以下、敬省略)の10回目は05年。9月の名古屋オールスター決勝は吉岡のグランドスラム(特別競輪全冠制覇)なるか!?も焦点の一つだった。関東1人の神山は先行した金子貴志(愛知)の番手を確保して追い込んで優勝。先行から追い込みへ。「神山第2章」が始まった中で結果を出した。04年に続くオールスター連覇は〝同一タイトル5回目の優勝〟という偉業だった。一方、吉岡は「オールスターだけ縁がない…」と敗戦。東西横綱は明暗を分けた。
ちなみに神山のGⅢ優勝は99回。「決勝戦は特別も記念も(GⅠもGⅢも)同じ。優勝の厳しさは変わらない」。当時、語っていた言葉が記憶に残る。
◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)熊本県八代市出身の63歳。慶大卒。87年5月の花月園新人リーグ(59期生)で競輪記者デビュー以来、現場取材一筋38年。デビュー戦から見た選手で最強は神山雄一郎、最速は吉岡稔真。9車の勝負レースは5車の結束、番手捲り。