神奈川の結束力でＧⅠ初制覇――。令和６年能登半島地震復興支援競輪、大阪・関西万博協賛「ＧⅠ第75回高松宮記念杯競輪」の決勝戦は16日、岸和田競輪場で行われ、郡司浩平の逃げに乗った北井佑季（34＝神奈川・119期）が番手捲りで優勝。賞金4790万円と「グランプリ2024」（12月30日＝静岡競輪場）の出場権利を獲得した。２着は北井マークの和田真久留、３着が古性優作。２車単、３連単ともに1番人気での決着だった。

　１着入線後に落車。バンクに倒れたが、スタンドからはもの凄い北井コール。Ｊリーガーから転身した遅咲きのヒーローをファンは熱く称えた。

　レースは郡司が先頭の位置になり、来た選手を誰も出させない突っ張り先行になった。タイトルホルダーの郡司が目イチの先行なのだから、異次元のパワーを誇る脇本とて巻き返しは至難だ。後ろの北井は「何が何でもの熱い気持ちを背中から感じました」と振り返る。あとは自らの力を信じて番手から踏み切るだけだった。

　「自分だけの力では獲れなかった。みんなのおかげだし、お客さんにももり立ててもらいました」

　感謝の人として挙げたのは師匠の高木隆弘（神奈川・64期）。「ピスト（競輪の自転車）に乗れない時からイチから教えてもらいました」この時ばかりは涙がこぼれた。サッカー選手から30歳を超えての転身にとまどいは多かったはずだ。

　「やり切ったのでサッカー人生に悔いはないです。日々苦しい生活ですが、今は全てを競輪にそそいでいます」

　トップの選手でも驚くほどの師匠とのハードなトレーニングで屈指の先行力を身にまとった。今回は番手での勝利だったが先行にかける気持ちに迷いはない。「泥くさい自分らしい走りで南関を引っ張っていきたい」次のＧⅠオールスターは地元バンクの平塚だ。タイトルホルダーの称号を得てさらにその先行力は加速する。（緒方　泰士）

　◇北井　佑季（きたい・ゆうき）1990年（平２）１月27日生まれ、神奈川県横浜市出身の34歳。近大中退。10～18年までサッカーＪ２松本山雅など４チームでプレー。21年５月プロデビュー。通算成績は295戦153勝。通算取得賞金は１億7540万円。主な優勝は第75回高松宮記念杯（24年）。師匠は高木隆弘（神奈川・64期）。１㍍69、78㌔。血液型Ｏ。

　◆次走　優勝した北井佑季と、３着の古性優作は久留米ＧⅢ（６月22～25日）、２着の和田真久留は豊橋ＦⅠ（６月24～26日）に出走予定。

　◆目標クリア　第75回高松宮記念杯の総売り上げは127億1252万3100円。目標の120億円をクリアした。