名古屋競輪のGⅠ「第79回日本選手権競輪」は4日、11Rで決勝戦が行われ、吉田拓矢(29=茨城・107期)が真杉匠の捲りを差してV。GⅠ優勝は2回目で初のダービー王に輝き、優勝賞金9400万円(副賞含む)と「KEIRINグランプリ2025」(12月30日、平塚)の出場権を獲得した。2着は真杉、3着は古性優作だった。

最終2センターのカベを真杉が乗り越える。あとはゴール前勝負。真杉が内に寄り落車はあったが、吉田拓が突き抜け2回目のGⅠV、初のダービー王に輝いた。
「自分の確定のことより真杉が失格してないかが気になりました。まさか自分が獲れるとは。今回は仲間のおかげで獲れたので頑張ってきて良かったです」
21年11月競輪祭でGⅠ初V。順調に関東のエースとして飛躍するはずだった。それが23年8月オールスター決勝戦で暴走失格となり長期の斡旋停止になる。直後に他地区の新山響平、新田祐大、脇本雄太からも励ましの言葉を受け、何より「家族のためにも落ち込んでいられなかった。子供が誇りを持ってくれるような父親でいたかった」と、強い気持ちで欠場期間も脚力を向上する努力を続けた。
昨年のダービー決勝戦は平原康多のVに貢献。周囲のムードも次は吉田拓の声が大きかった。そして信頼する真杉をマークからしっかりチャンスをものにした。年下の真杉との関係は「あまり上下関係がなくて、とっつきやすく何でも話せる関係です」と言う。このVで関東ゴールデンコンビが誕生。他地区に負けない強力ラインを形成する。
「前後に関しては自信を持って前を走れるように強くならないといけない。関東みんなで勝ち上がれるように気を締めていきます」
師匠は五輪メダリストの十文字貴信(引退)で、茨城では先輩の武田豊樹以来のダービーV。真杉との2強で関東勢を引っ張っていく。(緒方 泰士)
◇吉田 拓矢(よしだ・たくや)1995年(平7)5月7日生まれ、茨城県つくば市出身の29歳。県立取手第一高等学校卒。15年7月プロデビュー。通算成績は758戦247勝。主な優勝は第63回競輪祭(21年)、第79回日本選手権競輪(25年)。1㍍71、73㌔。血液型O。
◆次走 優勝した吉田拓矢は15~17日の川崎FⅠ、2着の真杉匠と3着の古性優作は15~18日の宇都宮記念。
▼真杉 匠(2着)接触で一気に止まった。優勝できるスピードだったので悔しいけど(吉田と)ワンツーはうれしい。
▼古性優作(3着)中途半端。(阿部)力也さんとハウスしたときに新山君が駆けて脚にきた。まだ三枚も四枚も足りない。力不足。
▼阿部力也(4着)スキをつくると古性君が入ってくるので内を締めていた。初GⅠ決勝は楽しかった。
▼松井宏佑(5着)勝ちにこだわったけど…。競輪と向き合ってレベルアップしているので、これからのGⅠが楽しみ。
▼新山響平(6着)変に緊張したし、風の影響もあって脚を削られた。自分が弱くてびっくりです。
▼浅井康太(7着)真杉君の捲りに乗って内を狙ったけど…。GⅠはまだ続く。中部一丸となってこの悔しさを晴らしたい。
▼岩本俊介(8着)もう少しフォローしたかったけど、車番的にきつかった。