岸和田競輪の「ＧⅠ第76回高松宮記念杯競輪」は22日に決勝戦が行われ、脇本雄太（36＝福井・94期）がバック番手捲りで５連勝の完全Ｖ。グランプリスラムを達成した２月全日本選抜以来となる10度目のＧⅠ優勝を飾った。高松宮記念杯は和歌山開催だった20年以来２度目の制覇。脇本を追走した古性優作が２着、郡司浩平が外を伸びて３着に入った。２車単、３連単ともに１番人気での決着だった。　

　〝近畿パビリオン〟が圧倒した。世界に披露すべき寺崎―脇本―古性の鉄壁ライン。ゴール後には肩を組み合い最高の結果を喜んだ。脇本は５年ぶり２度目の大会制覇に「地元地区のＧⅠで気持ちは入っているけど、結果が出なかった。今回は近畿の仲間に助けられた」と感謝を繰り返した。

　打鐘で勝負アリだった。太田と深谷による踏み合いの決着がつくと、頼れる寺崎が猛スパート。ライン３人で出切ると、強烈なカカリで別線を引きずり回した。バック過ぎで番手捲りを放ち盤石。最後は王者にタイヤも差し込ませなかった。「脚がたまり過ぎていて、いつでも行けるなと。本来であればラインで決めないとだけど、寺崎君の気持ちもくみ取った。４コーナーでは古性君が外に外していたので最高の形になった」と笑顔を浮かべた。

　４度目のＧⅠ完全Ｖ。手のつけられないワッキーを思い出させた。勝ち上がりでは絶望的な位置からアタマまで届かせた。ただ、本人は満足していない。「現段階がゴールではない。自分が前を回った時は位置取りの甘さがある。変化を求めながら新しいことに取り組むのが今年のモチベーションであり課題」と話す。自転車も今まではスピード全振りしていたが、自在性を求めた相棒を試すなど試行錯誤。史上初のグランプリスラマーとなっても進化を続ける。

　史上６人目となるＧⅠ二桁勝利を達成。さらなるタイトル奪取へ「現段階、行っている変化を進んでいけば、自ずといい結果が生まれると思うので、慢心せず進んでいきたい」と〝シン・ワキモト〟を目指す。ワッキーのミャクミャクと受け継がれる伝説。まだまだ続きがありそうだ。（渡辺　雄人）

　◇脇本　雄太（わきもと・ゆうた）1989年（平元）３月21日、福井県福井市出身の36歳。県立科学技術高卒。94期。08年７月プロデビュー。通算成績は999戦423勝。主な優勝はオールスター（18、22年）、寛仁親王牌（18、20年）、日本選手権（19、22年）、高松宮記念杯（20、25年）、オールスター（22年）、全日本選抜（25年）、ＫＥＩＲＩＮグランプリ2022。１㍍80、72㌔。血液型Ａ。

　◆次走　優勝した脇本雄太は弥彦記念（７月10～13日）、２着の古性優作は小松島記念（７月３～６日）、３着の郡司浩平は久留米記念（28日～７月１日）。