脇本雄太が完全V―。GⅠ「第71回高松宮記念杯競輪」の決勝戦が21日、和歌山競輪場で行われ、脇本雄太(31=福井・94期)が逃げ切って優勝。「グランプリ2020」(12月30日=平塚競輪場)の出場権利と賞金2940万円を獲得した。脇本の高松宮記念杯優勝は初。GⅠ優勝は昨年5月の松戸ダービー以来4回目。なお、高松宮記念杯の完全優勝は97年の吉岡稔真氏(本紙評論家)以来、GⅠの完全優勝は脇本自身の松戸ダービー以来の記録になる。
脇本が圧倒的な強さで完全優勝を飾った。今大会は昨年12月の立川GP以来、約半年ぶりの実戦。本来であれば今は東京五輪を直前に控えている時期だった。
「僕自身、オリンピックが気になり悔しい気持ちとかもある」中で今大会を迎えた。初めて走る無観客開催も「僕自身が今年一発目のレースで緊張していたので」レースだけに集中した。
3連勝で勝ち上がり、迎えた決勝戦は「競輪界を代表するメンバー」との一番になった。「前になるかも?と思っていたが後ろ攻めになったので自分の(タイミングで)スパートで仕掛けよう」。打鐘で先頭に立つ同じ五輪代表の新田を一気に叩くと「ペースで逃げ切れるように運んで」真っ先にゴール線を駆け抜けた。
「完全優勝できてうれしい。(このメンバーで)勝ててうれしい」。喜びとともに人気に応えた勝利にホッとした表情も見せた。
東京五輪に向けた練習の成果で昨年より一段上のスピードを見せつけた。「競技のケイリンでも前に出るという気持ちがあり、この競輪にも生きていると思う。レースの中で余裕はなかったが踏み直せたし自分の脚も信じて良かった」
高松宮記念杯の完全優勝は97年の吉岡稔真氏以来、23年ぶりの記録となり、この優勝で「グランプリ2020」の出場権利を一発ツモした。「またグランプリを走ることができるのはうれしい。今の時点では8月のオールスターまで走れる予定なので7月のサマーナイト(いわき平=10~12日)、地元記念(福井=23~26日)と頑張りたい」。今の脇本なら連勝記録をどこまで伸ばすか期待は膨らむばかりだ。(中林 陵治)
♤脇本 雄太(わきもと・ゆうた)1989年(平元)3月21日生まれ、福井県福井市出身の31歳。県立科学技術高卒。08年7月プロデビュー。通算成績は744戦269勝。通算取得賞金は6億1725万円。主な優勝は第61回オールスター競輪(18年)、第27回寬仁親王牌(18年)、第73回日本選手権競輪(19年)、第71回高松宮記念杯競輪(20年)。Ⅰ㍍80、82㌔。血液型A。
▼和田健太郎(2着)松浦君が不発でも動ける余裕はあった。(GⅠ初の2着で)ひとつ壁は越えられた。
▼佐藤慎太郎(4着)ペースがゆったりしたところで、新田が仕掛けてくれたら面白かったんですが…。3着だと思ったが悔しい。
▼稲川 翔(5着)最初から最後まで脇本ペースでしたね。(外の松浦に踏み負けて)脇本が逃げ切ってくれてたのは良かったです。
▼平原康多(6着)余裕はあったが(稲川と一緒に)バックを踏んで力を出せないまま終わって悔しい。
▼芦沢辰弘(7着)分かっていたけど(踏み遅れて)ああいう形になりますね。
▼新田祐大(8着)対処すべきところで見てしまったのが敗因ですね。今回は(ラインで勝った3日目の)競輪の良さと足りない部分が見えた4日間した。
▼稲垣裕之(9着)3番手の連結を外したので追走できる脚力を付けないと。
◆次走斡旋 優勝した脇本雄太、2着の和田健太郎はGⅡ平サマーナイトフェスティバル(7月10~12日)、3着の松浦悠士はGⅢ小松島記念(7月2~5日)に出走予定。