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【記者コラム】〝逆転存続劇〟で生まれ変わる千葉競輪 次世代の子供たちの夢の舞台に

2月13日、千葉500バンクで最後の練習を行った鈴木栄司

 

 笑顔でさよなら、ありがとう。再整備が予定されている千葉競輪場で2月13日、日本競輪選手会千葉支部によるお別れセレモニーが行われた。同15日から解体工事開始とあって500バンクで練習できるのはこの日が最後。慣れ親しんだバンクの感触をかみしめた。支部最年長の鈴木栄司(58=50期)は「一番の思い出はデビュー戦(82年10月)で3連勝したこと。アマチュア時代から39年。時代を感じますね」。最後の1人になるまでバイク誘導を追走し、もがく姿が印象的だった。

 

 49年開設の千葉競輪場は売り上げの不振や施設の老朽化を理由に廃止が既定路線だったが、国際規格の自転車競技トラック(屋内木製の250㍍バンク)を含む多目的施設に建て替えた上で事業を継続することが決定。日本写真判定(東京都千代田区)が建設費を全額負担する。

 

 16年には船橋オートレース場が廃止された。これも時代の流れと言えばそれまで。希望を見いだすことは困難な状況だったが、選手たちは署名活動などを通し競輪場の存続を訴えた。中村浩士支部長は「市からの通達を覆した事例はないと聞いていた。それでも、最後まで諦めないで、できることをやり尽くそうと心に決めた。みんなで協力し〝なし〟が〝あり〟になった」と振り返った。

 

 完成予定は東京五輪・パラリンピック終了後の20年秋。「この競輪場をファンで満タンにするのが夢。自分も走りたいし、次世代の子どもたちにも走ってもらいたい」(中村)。まだまだ幾多のハードルを乗り越える必要があるが、弱者が巨大組織に立ち向かう池井戸潤ドラマのような逆転劇は大きな財産になるだろう。今年も早いものでもう3月。別れの後には必ず出会いの季節がやってくる。

 

 ♤出田 竜祐(いでた・りゅうすけ)1980年(昭55)9月29日生まれ、熊本県出身の38歳。明大卒。05年スポニチ入社。芸能、サッカー、ボートレース担当を経て昨年4月から競輪担当。今年からいわき平に通いだし、夜な夜ないわきの飲み屋を開拓中。

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