脇本雄太の完全優勝で幕を閉じた松戸ダービー。快挙の裏でGⅠ初出場だった不破将登(30=岐阜)が4日目にGⅠ初1着。赤板から上昇し絶妙なペース配分で押し切り「まさか初出場で初勝利を挙げられるとは。しかも逃げ切りで」と喜びをかみしめた。
続く5日目も逃げで連勝を飾り、連日番手を回った北野武史も「急に進化した!!」と絶賛。確かな足跡を残した。
3月の大垣ウィナーズカップでビッグレース初出場。いきなり準決勝まで駒を進めたが「GⅡの時はうまいこといっただけで力の差を感じた。でも、今回は自分なりにレースをつくれた」。得られた達成感の差は歴然だった。
その大垣で同期の脇本からウェイトトレーニングのやり方を教わったという。「脚を鍛えるトレーニングでも、両脚同時にやるとどうしても利き脚に頼ってしまうので片方ずつやるようになった。するとタイムが出始めた」と明かした。
数年前までS級とA級を行ったり来たり。「チャレンジに落ちそうになったこともあったし、落ちたら選手を辞めようと思った」。腐らずにやってきたことがようやく実になり始めた。
「将登」という名前は「将来登っていくように」と両親が思いを込めたという。「10年くらい名前負けしていましたね。でも、ちょっとずつ登っていきたいですね」。不破のこれからが楽しみだ。
♤出田 竜祐(いでた・りゅうすけ)1980年(昭55)9月29日生まれ、熊本県出身の38歳。明大卒。05年スポニチ入社。芸能、サッカー、ボートレース担当を経て昨年4月から競輪担当。ダービー決勝は脇本の1着から渡辺雄太の2、3着付で勝負し不発。