
元競輪選手の井上茂徳です。スポニチの名物コーナーに「誰だ、このおじさんは!!」と感じた読者の方も多いことでしょう。私自身も、まさか自分が登場するとは夢にも思っていませんでした。私も毎日、見る読者の一人ですから。残暑厳しい9月の「我が道」は、競輪界の代表として私が書いていきます。
正直に言いますと、この企画の話、依頼があったのは5月中旬、女子レスリングの国民的アイドル浜口京子さんが掲載されている時でした。まるまる1カ月間もできるかどうか本当に悩みました。それで考えた末に担当者に、こう伝えました。
「申し訳ないですが、今回の話はなかったことにしてください。私には荷が重いです」
このコーナーに出たい人が多いと思うし、自分としては恥ずかしい話などもあらわになる。私、名前も顔も、もう売れたくない(笑い)ので、そっとしておいてください、というのが正直な気持ちだったんです。〝出らんほうがよかばいっ〟が結論でした。
それから、しばらくして担当者から「シゲさん、気持ち分かりますわ。でも、競輪界のPRにもなるし、一緒にきつい山、登りましょか」と…。その後、私が今、所属している「日本名輪会」(一般社団法人)の事務方をしていただいている三浦さんが、私と担当者が話している時に今回の企画話を耳にして「えっ、そうなんですか。井上さん、それはぜひ出てください。絶対に我が道に出た方がいい」と目を丸くして言うもんだから、私も腹をくくりました。
「よしっ、分かりました。競輪界で私が初めてみたいだから、受けましょう」
私が選手になるまでの話や選手になってからのエピソードなど、楽しく笑いを交えながら書いていきます。
友人の舟「双龍丸」と筆者。実は漁師の顔も持っています
いまは引退してからスポニチの評論や予想をはじめ、いろいろな活動をしてます。名輪会もその一つ。そして今、私は漁師の顔も持ってます。写真にあるように佐賀県有明海が私の主戦場。舟も有明海に2艘、佐世保に1艘持ってます。趣味の領域を超えているといえば確かですが、海はいいですよ。
これから1カ月、どがん(どんな)話を書けばよいのか、有明海を眺めながら考えています。競輪に興味がない方でも楽しく読んでいただけるように…。やっぱり失敗した話(特にお酒絡み)は面白いでしょうね。
それと、きょう第1回の掲載日9月1日が何と「第27回井上茂徳杯」(武雄競輪場)初日です。本当に偶然ですが、スポニチさんがつないでくれた縁を感じています。これから1カ月「井上茂徳」にお付き合いのほど、よろしくお願いします。
1958年(昭33)3月20日生まれ、佐賀市出身の67歳。競輪学校41期生として78年5月デビュー。GⅠ通算9勝。KEIRINグランプリは3度優勝(86、88、94年)。代名詞は鬼脚。99年3月31日引退。通算1626戦653勝。優勝回数154回、獲得賞金15億6643万円。現在、スポニチ評論家として活躍している。