京王閣記念優勝の和田(中)を祝福する中村(左)と根田(右)
京王閣記念は和田健太郎(38)が優勝。和田が「2人のおかげです」と何度も繰り返したように根田空史(31)と中村浩士(41)の千葉勢3人の結束で勝ち取った優勝劇だった。
中村と根田は2日前検の「千葉記念㏌松戸」に出走。システム障害による2日間順延で最終日は8日に。中1日で臨んだ「前橋寛仁親王牌」は台風19号の影響で1日順延、最終日は15日に。そして中2日で今回の京王閣記念。中村と根田は2日から22日までのうち18日間を競輪場で過ごした。
中でも中村は選手会千葉支部長として公務もある。例えば千葉記念㏌松戸では選手のまとめ役として関係者との協議に何度も加わった。「誰かがやらなければいけない仕事」と冷静に振り返るが、誰にでもできる役職ではない。その中で千葉記念㏌松戸と京王閣記念はともに決勝戦2着の結果を残した。〝疲れた…〟とかの泣き言はなく「僕はメンタルは大丈夫」と語る中村の気持ちの強さが印象に残った3開催だった。
「平成を振り返る」は平成18年の2006年後半。9月の花月園オールスターは井上昌己(40=長崎)が逃げ切りで特別初制覇。ちなみにファン投票第1位は吉岡稔真(福岡=引退)で10回目の1位に輝いた。12月のいわき平全日本選抜は新装された現在のバンクで開催され、合志正臣(42=熊本)がGⅠ初優勝。
この年は6月高松宮記念杯の山崎芳仁(40=福島)から3人がGⅠ初優勝を飾り、九州から2人のタイトルホルダーが誕生。12月の京王閣グランプリの大一番を迎えるだけだった。
ただ10回目のグランプリを迎える吉岡は古傷(鎖骨骨折のボルト)の影響で9月の青森記念以来、実戦を離れていた。また来年以降のスポンサー契約が白紙…。〝引退〟の噂も流れはじめていた状況が動いたのは12月26日の夜だった。
♤中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の57歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に関根幸夫(引退)ら59期生のデビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋32年。平成18年一番の思い出ビッグは12月京王閣グランプリ。