新年は昨年後半の若手自力選手の活躍から、かなりの下克上があるのではと思われた。しかし、4場所の記念・GⅢレースで勝った選手は清水裕友、松浦悠士、平原康多、山崎芳仁のSS班3選手にタイトルホルダー。トップ選手の厚いカベにはね返された印象だ。
また1月で注目されたのは競輪選手養成所を初めて早期卒業した寺崎浩平=写真=、菊池岳仁の2選手がデビューしたことだ。さすがに両者ともにチャレンジレースでは敵なしで、寺崎は6連勝、菊池は4連勝(27日時点)を決めている。寺崎のデビュー2場所目となった25日からの奈良で話を聞いた。
前検日にはやや緊張した表情だった。「前回はプレッシャーで思うような走りができなかったです」と振り返る。完全Vだったがタイム的にも納得のいく走りではなかったようだ。迎えた初日は打鐘3角からのカマシ先行で後ろは離れ、ゴールでは2着の選手がモニターでは見えないほど大差での勝利。レース後の表情は明るかった。「緊張もしなくて自分の走りができました」と話す。準決勝、決勝戦でも持ち味のスピード全開で寄せ付けなかった。確実に勝つ位置からの仕掛けで、内容的にはやや物足りないが、初の早期卒業で結果を求められているから仕方のない面もある。
これで次の2月4日からの四日市でA級一、二班戦への特別昇班がかかる。A級でも9連勝が有力で、順調なら3月後半にはS級となる。「同期がデビューする前にS級を」の目標はかないそうだ。S級になれば最速で8月オールスターで推薦枠でのGⅠ出場が可能になる。早期卒業組に刺激を受けて、2月からはS級の新鋭陣の巻き返しにも期待がかかる。(緒方 泰士)