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【記者コラム】楽しみな松坂兄弟物語

 「兄というよりは師匠」と語るのは115期の松坂侑亮(21=神奈川、写真)。兄で師匠はGⅢ3勝を誇る松坂洋平(37=神奈川)だ。2月の小田原で9連勝を達成し特別昇班。大宮(9~11日)でA級1、2班戦デビューするといきなり2勝を挙げた南関のホープだ。
 
 侑亮は高校卒業後から本格的に自転車にまたがり始める。「S級で活躍しているのが輝いて映った」と兄・洋平の背中が弟を動かした。「忘れもしない、18歳の誕生日前日に兄に弟子入りした。それからの練習のキツさを考えると最悪の日になった」と語るように師匠・洋平との地獄の練習が始まった。朝練で体を追い込んだ後、夕方には街道100㌔。「最初はやる気がないなら帰れと言われたし、何度も夜逃げしようと思いました」と当時を思い出し引きつった顔を浮かべた。そんな過酷な練習を乗り越えたことで念願の競輪学校(現日本競輪選手養成所)に合格し、師匠と同じ舞台に立つことができた。
 
 在校順位は卒業した70人中54位と下から数えた方が早い。「師匠から言われたように考えて練習することで強くなれた」。練習メニューを自分で工夫して取り組んだことで進化を遂げた。兄に頼ってばかりの弟ではない。自ら考え練習することで21歳は成長した。
 
 「まずはS級。そして兄と同じレースで兄弟連係したい。もちろん1着は僕で」弟らしい無邪気な笑みを浮かべ目標を語った。自身の特別昇班の優勝と兄のGⅢ優勝が同日。出来すぎた物語にも思える。だが、弟の真っすぐなまなざしを見ていると、さらなる物語を兄弟で見せてくれる気がしてならない。
 
 ♤渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の24歳。法大卒。18年4月入社、昨年12月までレイアウトを担当し1月からレース部・競輪担当。競輪だけでなく競馬、ボートもたしなみ昨年の宝塚記念では100万円超の払い戻し。特技はプロの資格を持つダーツ。愛犬の名前は「ジャン」。現場で初めて女王・児玉碧衣に会い同い年とは思えないオーラに圧倒された。

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