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【記者コラム】久米 年末への〝下剋上〟物語が始まった

成長著しい久米詩

 

 物語は出来すぎくらいでいい。

 

 3日、防府でフレッシュクイーンの座を射止めた久米詩(21=静岡・116期)。巧みなレース運びと勝負強さを生かし「勝ったか分からなかった」という微差の劇的勝利。だが、これはまだ序章にすぎないのかもしれない。「トップだけが集まるビッグレースは初めて。走ってみたいと思っていたし、楽しみ」という繰り上がりで出場が決まった小倉・ガールズグランプリトライアルで今まさに続きが描かれている。

 

 戦歴からみても、単純な脚力比べなら同じグループの児玉、石井貴ら上位陣には劣るかもしれない。ただ、勝負強さとクレバーな立ち回りは一線級にも通用するはずだ。

 

 デビュー当時は前受けからのレースが基本だった。その戦法でデビューから7場所目で初優勝と結果も残す。それでも納得はしなかった。「いつも前から戦えるわけではないし、どんなパターンになっても戦わないといけない」と初手が後方からの組み立てにも挑戦。「最初はどうしたらいいか分からなかった。でも、いろいろな位置で戦っていくうちに〝ここで来られたら嫌だろうな〟など相手の立場を考えられるようになった」。7人が単騎だからこそ、相手の心情を理解した立ち回りは有利に働く。初の単発レースで結果を出した勝負強さも加われば、格上相手でもおもしろい。

 

 グランプリ出場への条件はグループAでの優勝のみ。それでも運も向いて最後の戦いに滑り込んだ若き才能は「勝負の世界ならそういう戦いをモノにするのは大事。行っただけで終わりたくないので何かは持って帰りたい」。それが12月28日、平塚行きの切符。そんな物語の続きでも今の久米なら何ら驚きはない。

 

 ♤渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の25歳。法大卒。18年4月入社、昨年12月までレイアウトを担当し1月からレース部・競輪担当。愛犬の名前は「ジャン」。小田原モーニングで穴車券をゲットし、〝早起きは三文の徳〟を体感。