2月に川崎競輪場で今年初となるGⅠ全日本選抜が行われた。競輪界のトップ選手が集結する中、地元のエース・郡司浩平=写真=が2度目のGⅠ制覇。郡司のエースとしての貫禄が際立ったが、それと同じぐらいに深谷知広の爆発的なパワーも、改めて実感させられたシリーズになった。
静岡に移籍してから初のビッグ参戦となった深谷。仕掛けには一切、迷いがなく連日、積極果敢な攻勢で風を切ってレースを支配。決勝でも別線の態勢が整う前に赤板から一気にカマして主導権を握った。結果は9着も、郡司の優勝に大きく貢献。「最低限の走りはできた。次は優勝争いに加わりたい」。南関に移籍して名刺変わりの先行策で存在感を大きく示した。世界で戦う剛脚は競輪界でも屈指。次走のGⅡウィナーズカップ(松阪・25日~28日)でも自慢のパワーを存分に発揮してV争いを演じる。
郡司と同じ神奈川県出身の堀内俊介も、着実に復調を遂げている。2月小倉では優出。しかし、決勝では和田真久留に離れてしまい苦い経験に。「小倉では和田君に離れてしまい。スピード練習やダッシュ強化をしていかなきゃいけないと思った」と失敗を糧に改めて練習メニューを見つめ直した。続く四日市でも優出。単騎戦で迎えた決勝では「ワンチャンスを狙って行く」の言葉通りに、勝負どころを逃さずに仕掛けて二段駆け態勢の関東勢を撃破。2年10カ月ぶりの優勝を飾った。練習の成果がさっそく表れたのか、判断に迷いはなく鋭いタテ脚が光った。その後は大敗も目に付くが、着実に進化を遂げていて今後も注目したい。
勢いに乗る南関勢はエース郡司を筆頭に、グランプリ王者の和田健太郎、世界級の深谷と実力者が勢ぞろい。現在の競輪界で最もホットな地区で、今年のビッグ戦線での南関勢の活躍は必至だ。(栗林 幸太郎)