3月19~21日に宇都宮競輪場で開催されたGⅢ「トラック競技支援競輪」。
今月7日に53歳になる神山雄一郎(栃木)が通算100回目のGⅢ優勝を目指したが6着に敗れた。現在の脚力から厳しい戦いになるのは予想されたが〝それでも神山なら…〟とオールドファンをその気にさせたのが神山のオーラだろう。
私も車券の本線は柏野智典(岡山)だったが、神山の頭はもちろん流した。
「トラック競技支援」は3日制ながらGⅢ格付け。直後のウィナーズC(3月25~28日)出走組は不在。神山の勝ち上がりも順調。初日は山岸佳太(茨城)を差して1着、準決勝は宿口陽一(埼玉)に続き3着。
準決勝後に「前2人のおかげ。現状の力で地元決勝に乗れて良かった」と振り返る笑顔は変わらない。そして「以前(全盛時は)は地元で3着なら怒られたけど(笑)、今は3着でも〝良かったな〟という声援でうれしかった。ファンはありがたい」。競輪を知り尽くす神山ならではの言葉だ。
GⅠ初制覇を飾った93年の宇都宮オールスター。表彰台で号泣する神山にもらい泣きする地元ファンが多数いた。オールドファンは88年5月デビューの神山を見続けて33年を数える。〝神山の夢は僕達の夢〟の横断幕の言葉も記憶に残る。
私も神山の原稿はヒーローも敗者も何度も何度も書いた。神山の原点は自転車少年。実家が自転車店をやっていた時期もあり中学時代にはサイクリング、ロードレース。作新学院高時代には小山市内の実家から片道40㌔を雨の日も風の日も休まずに3年間、自転車通学したのは有名な話だ。
「自転車が好きだから」。GⅠ16勝をはじめ数々の記録を塗り替えたレジェンドも年齢との戦いが続く。それでも神山の走りがオールドファンの心に響くことは確かだ。
♤中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)7月13日生まれ、熊本県出身の58歳。慶大卒。87年4月入社、翌5月に倉岡慎太郎(熊本)ら59期生デビュー戦(花月園新人リーグ)で記者デビュー。以来、競輪の現場取材一筋34年。通算車券購入額上位者①神山雄一郎②鈴木誠③小橋正義
【記者コラム】神山のオーラは健在
2021/4/1