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【記者コラム】点数勝負は選手のカンフル剤

 10月31日、JKAから24年前期(1~6月)の適用級班の人員が発表された。今年前期の審査成績を元に決定する競輪選手の〝脚力通信簿〟。弱肉強食の競輪界はこの成績でS班を頂点とするピラミッド図が形成される。昇降級のボーダーを調べるとS級→A級は97・04以下。A級→S級は91・00以上となっている。
 初のS1となった選手はモチベーションが急上昇。選手生活15年目で来期S1に在籍する川津悠揮(35=96期・北海道)は「今期(7~12月)も点数を確保したい」と鼻息が荒く、同じく12年目の一戸康宏(36=埼玉・101期)は「今期はもう厳しいが、今後は1年間を通してS1にいられるように。点数を持っていれば初日特選に乗られるようになる」と明確な目標を抱くようになっていた。
 個人的にはA級選手によるS級昇級を懸けたバトルが大好き。今年の前半戦を振り返れば「あの時の勝負駆けをクリアしてS級が確定したんだな」と思いをはせる。6月伊東FⅠで17年目にしてA級1、2班戦初優勝を飾った片山智晴(39=岡山・92期)はV差しが自身初となるS級昇級への決定打になった。小谷実(36=京都・93期)、林敬宏(32=愛知・117期)は期末のラストで成績をまとめてS級点を確保。〝勝負駆け〟は競輪の醍醐味(だいごみ)で車券の食指が動くだけでなくドラマも生んでいる。
 後期も今のところ昇降級のボーダーラインは前期並みに落ち着きそうな情勢。だが、モーニングからミッドナイトまで一日中レースが開催されているためボーダーは日々変動していく。点数勝負は選手のやる気スイッチを刺激するカンフル剤。選手から「勝負駆け」や「点数勝負」の言葉が出たら、車券で追いかけてほしい。

 

 ◇小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の40歳。06年スポニチ入社。予想では調子、ラインの結束力を重視。期末になると今期得点から失格点を引いたランキング表を毎日のように作成。取材に活用している。

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