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【記者コラム】心技体そろった久米詩 ガールズGPで大仕事の予感

 「躍進」。今年、この言葉が一番似合うのは男子を含めても久米詩(24=静岡・116期)だろう。5月の平塚ガルコレ、7月の函館フェスティバルと2度のビッグ制覇。賞金ランキングも前年の15位から1位までジャンプアップし、堂々と初のガールズGPに挑む。久米自身も「自分でもビックリするくらい変化のある一年だった」と目を丸くする。そんな驚きの躍進を遂げたのには、脚力だけではないメンタルの強化があった。

 もともと気持ちは強い。検車場では同期と談笑するシーンも見るが、レースになると目つきが変わる。発走前には〝負けたくない〟というオーラが全開。負けようものなら、顔は笑っていても目の奥に負けた自分への怒りの炎がゆらめいていた。本人も「勝ち負けにこだわり過ぎて集中力が別のものに注がれていた」と語る。勝ち気過ぎるし、負けず嫌い過ぎた。

 今年はその強い気持ちが〝正の方向〟に向かった。5月のガルコレに向けてトレーナーをつけてメンタル強化を実施。「緊張に対する向き合い方を学んだ。〝今、その瞬間〟に集中することができるようになった」と効果を実感する。もっともその成果が出たのが函館のフェスティバル決勝。アクシデントで再発走となったが、動じることなく〝今〟に集中し、力を出し切り優勝をつかんだ。

 今年の目標は「年明けから始まるトライアルレースで勝って、コレクションにつなげて優勝すること」。見事に達成している。加えて、もう一つあるという。「グランプリに出て優勝すること」。オールクリアは目の前にきた。初出場で頂点へ。「緊張感よりも楽しみが大きい。1年間の集大成として全力で闘いたい。気持ちのこもったレースがしたい」。気持ちをコントロールして全てぶつける。心技体そろった久米なら大仕事をしてくれるはずだ。

 ◇渡辺 雄人(わたなべ・ゆうと)1995年(平7)6月10日生まれ、東京都出身の28歳。法大卒。18年4月入社、20年1月からレース部・競輪担当。昨年は中央競馬との二刀流に挑戦。今年から再び競輪1本に。愛犬の名前は「ジャン」。

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