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【記者コラム】ネットの新規ファンを競輪場に

 頂点にして原点を見た思いだった。12月30日。競輪界最高峰の大一番「KEIRINグランプリ」を生で観戦しようと立川競輪場に1万5000人を超えるファンが足を運んだ。

 開門前から長蛇の列。1レースの開始前には場内が大勢のファンで埋め尽くされた。叱咤(しった)、怒号、歓喜…。さまざまな声が飛び交う。それぞれの思いが選手にぶつけられる。それは熱気と活気に満ちた光景。やはり競輪場はこうあるべきだ。

 コロナ禍の巣ごもり需要で競輪業界の売り上げはV字回復。無観客のミッドナイトも好調で、競輪場へ行かなくてもネットで車券が買える時代。それが浸透して入場者数と売り上げが比例しなくなった。

 普通開催の場内は相変わらず閑散。それでも売れているのが実情だ。売り上げ第一は当然だが、現状にあぐらをかいていては明るい未来はない。足しげく通ってくれるオールドファンを大事にし、ネットで芽吹いた新規ファンを本場開催へ。立川グランプリでは家族連れや若い女性も多く見られた。「見たい、買いたい、行ってみたい」。競輪場のにぎわいなくして本当の再興はない。

 ファンと共に75年の歴史を歩んできた競輪。車券が売れている今だからこそ、できることはたくさんある。魅力あるレース(7車立てはいつまで?)、施設の改善、イベントの充実などなど。24年はファンを競輪場に呼び戻し、活気を取り戻す分岐点となることを期待したい。

 ◇小野 祐一(おの・ゆういち)1983年(昭58)10月26日生まれ、秋田県出身の40歳。06年スポニチ入社。予想では調子、ラインの結束力を重視。今年一番記憶に残るレースは2月奈良記念準決勝で金網付近まで飛ばされながらも9番手から大捲りを放った新田祐大の一発。

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