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【記者コラム】八代亜紀さんを思い出す平競輪場

 1月25日、いわき平記念競輪開幕。05年に「空中バンク」として新装された平競輪では多くのビッグレースが行われている。今シリーズに出走する山崎芳仁(10年)、脇本雄太(18年)、古性優作(21年)は平オールスター競輪を優勝、また脇本は平ダービー優勝(22年)の名勝負を演じている。

 平のビッグは車券以外の思い出も多い。最も記憶に残るのは17年と18年のオールスター競輪最終日。先月、亡くなった八代亜紀さんのイベントが行われた。

 当時の施行者が「今まで平競輪を支えてきた市民、平競輪場に足を運んでくれるファンが喜ぶイベントを」という思いから八代さんサイドに打診。16年の熊本地震で故郷の熊本県に被害があった八代さんサイドは「福島県も被災地ですから」と快諾されたと聞いた。

 17年の決勝昼間は雨だった。当初は〝雨、雨、降れ、降れ~〟の歌詞が競輪開催日にはどうかな…?との理由で予定にはなかった「雨の慕情」が雨天のためバンク内に流れた。八代さんと同じ八代(やつしろ)市内の小学校出身の私も多くのファンと一緒にビニール傘で音頭を取った。

 八代さんはトークショーでも「名前にちなんで、や(8)し(4)ろ(6)を勝ってるけど、まだ当たらない」と競輪の話題にも触れて和ませてくれた。

 翌18年も八代さんのイベントが行われた。当時の施行者が「昨年は多くの市民とファンが喜んでくれた」の結果から再度、八代さんサイドに打診。前年同様に快諾で2年連続のイベントとなった。「八代亜紀さんの生歌が聴ける」と前年を上回るファンが集まる大盛況。最後は「舟唄」。

 いわき平競輪は今年4月30~5月5日にダービーを開催。施行者は昨年の早い時期から八代さんサイドに6年ぶりのイベントを打診していたという。「今までの競輪を支えてきたファンと市民が喜ぶように」という施行者の強い思いがあるからだ。私も数え切れないイベントを見てきたが〝長く本場を支えてきたファン〟を一番に考えてほしい。

 ◇中林 陵治(なかばやし・りょうじ)1962年(昭37)生まれ、熊本県八代(やつしろ)市出身の61歳。慶大卒。87年4月入社、同5月の花月園新人リーグ(59期生)で競輪記者デビュー。怪物・滝澤正光の先行、鬼脚・井上茂徳の追込みに即、魅了された。以来、現場取材一筋37年。

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